意地の単年契約や!

 阪神安藤優也投手(32)が14日、兵庫・西宮市内の甲子園球団事務所で契約交渉し、30%、3300万円ダウンの年俸7700万円で更改した。今季取得した国内FA権行使を前提とした複数年契約を提示されたが、行使せずの1年契約を選択。今季2勝からの復権を目指し、「10倍返し」を誓った。

 交渉時間はわずか18分だった。初めて代理人・高山弁護士を伴った契約交渉。大幅ダウン提示を受け入れ、安藤はむしろ晴れやかな表情を浮かべた。

 安藤

 もちろんダウンです。ガッツリいかれましたけど、今年の成績では仕方がない。

 1億1000万円から30%ダウンの年俸7700万円。球団側が提示したFA権行使を前提とした複数年契約は断ったのが、エース候補と呼ばれた男の意地だった。

 安藤

 最後まで悩みましたけど、今年の成績では胸を張ってできない。来年頑張るモチベーションを残すため、単年で頑張ろうと。複数年契約の提示?

 もちろん、そういう条件もあったけど、自分の中でいろいろ考えて単年で勝負すると決めた。

 屈辱の1年だった。球団史上初となる3年連続開幕勝利投手でスタート。ここから、まさかの道のりが待っていた。不調に苦しみ、シーズン終盤に右肩痛も発症。19試合で2勝3敗、防御率7・27。自己ワーストの成績に悔しさは計り知れない。どうすれば完全復活を導き出せるのか。安藤が出した答えは「FAせずの単年勝負」。FA権を保持することで復権への思いを高め、安藤という投手の価値を取り戻す。

 安藤

 もちろん、タイガースで現役最後までやれるのが、僕の一番望ましい結果、気持ち。出来るのであれば、タイガースで現役を終わりたいというのはある。

 移籍を前提にするのではなく、あくまでも自分を追い込むために、1年契約にこだわった。現在は、鳴尾浜で右肩痛のリハビリ中。年内にはキャッチボールを再開する見込みだ。1月は鳴尾浜で自主トレを行って、2月1日のキャンプインには例年通りの状態に戻す。

 安藤

 正直今年はあまり振り返りたくない。反省するところはして、来年10倍返しの気持ちで頑張る。

 雪辱のシーズンへ。悔しさをバネに突っ走る。【佐井陽介】