世界制覇へ、弾丸ライナーで始動!

 WBC日本代表候補の阪神鳥谷敬内野手(31)が11日、練習試合の韓国・LG戦(宜野座)で13年初実戦に臨み、初打席で右越え二塁打を放った。試合は1回裏終了時点で雨天ノーゲームとなったが、仕上がりの良さを証明。侍ジャパンの二塁レギュラー取りへ、上々のスタートを切った。

 雨脚が強くなっても、鳥谷の集中力は途切れない。薄いオレンジ色の相棒で雨粒を切り裂き、弾丸ライナーで右翼を襲う。右翼手がジャンプキャッチを狙うが、グングン伸びた打球はその頭上を越えた。言葉にするまでもなく、「準備OK」を体現した。

 鳥谷

 しっかり振り抜けて良かったですね。(フォームは)今の形でとりあえず行こうと思っています。

 WBC日本代表合宿初日まで、あと4日。13年初実戦の韓国・LG戦に3番遊撃で先発。1回2死から長身右腕を打ち砕いた。2ボール1ストライクからの4球目。内寄り直球を完璧にミートし、右越え二塁打を決めた。昨季終盤の練習中からフォーム改良に着手。バットをかついだ状態から始動する新フォーム固めに取り組み、手ごたえを得つつある。

 新バットのデビュー戦でもあった。ナイキ社製で薄いオレンジ色ベースのバットは長距離打者仕様の相棒だ。昨季まで33・5インチ(約84センチ)だったものを数年ぶりに変更。この日は34・5インチ(約88センチ)の相棒を実戦で初使用した。一般的にバットは長ければ長いほど長距離砲用と言われる。「これから打った感じを試しながら、ですね」。従来のものとの2本を使い分け、相性を探っていく。

 実は狩野モデルのバットだ。これまではシーズンに入ればバットを指2本ほど余して持っていたが、今季はグリップに指をかけるスタイルにもチャレンジする。指をかけやすいグリップを探した結果、狩野が使うバットを自ら写真撮影し、ナイキ社の担当者にメールしたという。こだわりの一品はWBCでも強い味方になってくれそうだ。

 結局、試合は1回裏終了時点で雨天ノーゲームが決定。初タッグを組んだ西岡との二遊間で見せ場はなかった。ただ、たった1イニングだけでも、このバットは使える、という大きな収穫をゲットした。次回は13日の紅白戦に出場し、15日から宮崎代表合宿に参加。いよいよ侍のよろいを身につけ始めた。【佐井陽介】