<WBC:日本5-2中国>◇3日◇1次ラウンドA組◇ヤフオクドーム

 スーパー天然侍が最後まで、幸せな笑いを周囲へと振りまいた。3打点と大暴れした糸井嘉男外野手(31)が、初めて試合後の公式会見に指名された。山本監督と、前田健と同席。初体験の海外メディア用の同時通訳機を耳に装着し忘れる。チーム広報から注意を受けても意味が分からず知らん顔。山本監督から頭をポカリとされる一幕もある、ほのぼのムードの中でも「勝つか負けるかなので、勝ててホッとしている」。懸命に大役と向き合い、一振りで中軸の一角を勝ち取った。

 前夜ブラジル戦で阿部の代役4番を任された。同点適時打を放つ活躍を見せたが、この日は主砲復帰に伴って5番で起用された。「阿部さんのすごさが分かった。あのポジション(4番)は阿部さんにしかできない」。肩の荷を下ろし、本領発揮した。5回1死満塁。外角高めに抜けた135キロを完璧に仕留めた。走者一掃の3点二塁打。内川の適時打とたたみかけてビッグイニングを演出した。

 侍ジャパンの発足当初は6番を任される構想だった。稲葉、長野の不振に阿部の負傷も重なり、試験的に2試合連続で中軸に抜てきされ、バットで応えた。山本監督は「糸井もやっと『らしさ』を出してくれました」と称賛した。

 番外編でも短期決戦に強い。1月にオリックスへ電撃トレードで移籍。宮古島キャンプの夕食で鶏肉をアグー豚と間違え、新チームメートの話題をさらった。その直後から低音で「アグー」とあいさつする儀式が流行し、一気に輪にとけ込んだ。そんな天然力で、侍打線にフィット。糸井が、WBCで超人伝説を刻む土台ができた。【高山通史】