ジョーカー侍は万全! 救援待機に先発にフル稼働を期待される則本昂大投手(26)が24日、第4回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に向けた宮崎合宿2日目にブルペン入りした。重みのある直球は威力十分で、WBC用の球種「スラッター」の精度もバッチリ。3月7日の開幕キューバ戦で中継ぎ待機した後は先発要員へ。世界一奪回のキーマンが最終準備に入った。

 公称178センチ、82キロの体格がマウンドから迫ってくるようだ。則本の躍動感は格が違った。直球はズドン。変化球はキュッ。3つ並んだプレートの真ん中、威風堂々の40球にブルペン中の視線が自然と集まった。

 則本 良かったと思います。しっかり腕を振れていたし、ある程度はコントロールもできていた。

 合宿2日目、代表合流後初のブルペン投球を披露した。正午前、宮崎市内の気温は11度。屋外ブルペンに「寒かったです」と苦笑いだ。投球序盤は直球の制球にズレが生じたが、中盤以降は真っすぐの重み、変化球のキレ味ともに上々。権藤投手コーチからの注文は「ラインを間違えないように」だけだった。直球23球、スライダー4球、フォーク4球、チェンジアップ3球。そして6球投じたカットボール「スラッター」の精度が抜群だった。

 則本 今、一番信頼を置ける球。右打者にも左打者にも投げられる。真っすぐと軸になると思います。

 「スラッター」は2月上旬の沖縄・久米島キャンプ中に生まれた。滑りやすいWBC球を活用すべく、主戦球ではないカットボールもチェック。打者の手元で「鬼のように」曲がり、持ち球ランキングで一気に最上位まで躍り出た。

 この“新球”を引っさげ、世界一奪回のジョーカー役を担う。WBC開幕戦の3月7日キューバ戦に中継ぎ待機。登板すれば中4日の制限がかかる50球以内を意識して流れを作る。さらに2、3位を決める同11日のプレーオフに回った場合は中3日で先発。プレーオフに回らず1位突破の場合は、同12日の2次ラウンド初戦先発を任される。

 則本 勝ちにこだわってやっていきたい。やってやろうという気持ちです。

 28日の壮行試合・台湾プロ野球選抜戦に登板し、本番に向かう見込み。フル稼働に備える、その表情はりりしい。【佐井陽介】

 ◆WBCのフル回転 過去のWBC日本代表では、09年のダルビッシュ(当時日本ハム)がチーム9試合中、最多タイの5試合に登板。準決勝、決勝では原監督から抑えを任され先発2試合、救援3試合の大車輪で連覇に貢献した。同一大会で先発、救援を2試合以上記録したのはダルビッシュしかいない。