侍ジャパンの小久保裕紀監督(45)が23日、帰国し、都内で記者会見を行った。一問一答は以下の通り。

-今の率直な気持ちは

 小久保監督(以下小久保) この仕事を引き受けて3年半チームをつくってきましたが、WBCの世界一奪還を最大の目標にしてやってきた。それを達成できなかった悔しさがあります。

-空港で「お疲れさま」という声があった

 小久保 正直大会中は、あまりメディアに目を通さず、テレビも付けることもなく、どういう盛り上がりか分かってなかったんですけど、日本の時の戦いを含めて、よくやったという声があったので、ありがたいです。ただ最終目標は達成できなかった。

-感情の変化は

 小久保 最後選手たちと全員握手して別れたんですけど、中田なんかは2013年の最初から全部の試合に参加してきた。そういう彼らとできた時間を、本当に侍ジャパンのユニホームに袖を通して、球界を引っ張っていくという使命感でやってくれた彼らに、あらためて感謝しました。

-ゲームが終わって声をかけたことは

 小久保 終わった直後は、胸を張って日本に帰ろうという話しはしました。

-ゲームセットの瞬間は

 最後の最後まで、戦況を見つめてました。1次、2次の東京から粘りがあったので、何かあるんじゃないかと思って最後まで見てました。

-アメリカとは1点差の敗退。1点の重みは

 小久保 やっぱり東京の時にやっていた投手とは、正直ランクが上回ってました。当然外国人は動くボールを主体に投げてくるんですけど、動くボールのスピード、動くボールの動き幅だったり、打線の状態は非常に良かったと思うんですけど、それでもほとんど芯に当てることができないままWBCが終わった。正直1点差という以上のものを、打線に関しては感じました。

-試合中の対策は

 小久保 出てくる投手はツーシーム系のボールなので、それを強引に打ちにいったら、術中なので、コンパクトにセンターにという指示はしましたけど、それすらさせてもらえなかった。

-日本野球の強さは

 小久保 菅野はキューバ戦での登板が自分の中で納得いくものではなかったと思うんですけど、見事に修正して、全員メジャーの中心選手の打線を、しっかりと抑えた。日本の投手陣、トップの選手は十分に通用することを証明してくれた。あとは大会中を通じて、中継ぎ、抑えの所で、日本の投手陣がゲームをつくってくれた。そういう点では、縦に落ちる変化があるピッチャーは有効なんだと、改めて再認識しました。

-長打も多くて、打てるチームだった。攻め方についてはどう進むべきか

 小久保 動くボールが主体ですけど、日本球界はフォーシームが主体なので、なかなかそこを改善していくのは難しい。ただ今回あれだけホームランが出たということは、以前よりもトレーニングも発達して、向こうのメジャーのボールにも負けないぐらいの筋力アップができてきた証。今回対戦した選手たちが、世界のトップのピッチャーたちを経験できたこともひとつの財産になると思います。

-東京五輪や次回WBCに向けて改善できるか

 小久保 当然そうしていかないといけない。今回選出した選手はまだ若いですし、これから数年、日本球界をけん引できる選手。そこに向かって、目標を高く持っていってほしい。

-大会中に貫いたことは

 小久保 周りに惑わされないこと。勝つために自分で決めたことを実行する。この期間中は徹底しました。スタメン、先発投手を決めることもひとつ。大会中にいろいろな意見が強化試合の時からありましたが、そういうところに惑わされず、自分で勝てると思ったものを使ってきました。

-野球人として芽生えたものは

 小久保 野球人というよりは、代表監督はやさしいものではなかった、ということですね。まず最初に選手たちを集める中で、当然日の丸を背負って戦うのはリスクも高い。プレミアは11月でシーズンが終わった後、今回のWBCは開幕前という中で、選手たちの負担はかなり大きい。その彼らが、しっかりと使命感を持って、日本球界を引っ張っていくんだというものを、持った選手を集めなくていけないところからスタートして、集めた中では、当然勝ちにこだわるんだけど、勝ちだけにこだわると、どうしても選手起用が偏ってしまう。みんなにチャンスを与えなくていけないというところから、WBCは最後だったんで、当然勝つためにだけやって、結果出番が少ない選手や、登板が少なかった選手が出てきたので、各球団のトップを集めながら、そういう決断をしなくてはいけないところがつらかったですね。

-WBCで得たものは

 小久保 勝負は紙一重と感じた。あれだけの選手が、あれだけの集中力で戦うと、あんな試合ができる。それが応援してくれた日本のファンに響いたと思う。

-日本の一体感は大きい

 小久保 素晴らしい選手に囲まれ、恵まれ、一緒に戦うことができたのは、私自身の人生の宝物です。

-今後はどう野球に携わっていくか

 小久保 しばらくゆっくりしようと思ったら、仕事がいっぱい入っていた。また解説しながら、あと選手たちにはこれからは応援する側になる、みんなの活躍を祈っていると言いました。

-代表監督は一区切り

 小久保 そうですね。一区切りです。