今場所も千秋楽を残すだけ。力士らは、場所が終わると夏巡業に出る。8月3日の岐阜から23日の札幌まで3週間。今年は秋と冬の巡業を含めて年65日程度になる。61日あった01年以来の盛況だ。八百長不祥事から11年は巡業を中止し、12年に再開した。人気はなかなか取り戻せず年間31日と半分。昨年も38日だった。

 8月17日には岩手・一関巡業がある。勧進元の山口弘典氏(82)は、77年の地元の茨城・土浦を手始めに10回を超えた。再開後は昨年8月に石岡、今年は4月に水戸、来年は筑波で勧進元を務める予定。「今回はお盆明けで厳しそう」とちょっと心配する。

 早大ボクシング部出身で、ヤマグチ土浦ジム最高顧問を務める。元横綱栃錦の春日野部屋へ連れて行かれたのが角界と付き合いの始まり。10年には賭博問題の特別調査委員にもなったが、維持員席問題で解任された。それでもいまだ応援、支援を続ける。

 17年ぶりに4場所連続15日間大入りが確実だが、スー女など新たな客層が目立つ。下位力士でも「かわいい」と言われ、人気というよりブーム。山口氏は「ボクシングも相撲もお客さんが喜んで帰ってくれればいい」と話す。苦しい時の支えがあってこそ、長い歴史は続いてきた。【河合香】