猫ブームが角界に押し寄せてきた。荒汐部屋の看板猫のモル(11歳、雄)の写真集が、10月から相次いで出版社4社から発売されることになった。元々は野良猫で、蒼国来がモンゴル語の「猫」にちなんで命名。海外メディアの報道をきっかけに朝稽古を見守る姿が話題になった。おかみの鈴木ゆかさん(54)は「私たちにとっては当たり前の日常」と言うが、東京・中央区の部屋に外国人観光客が列をなすほどの人気者だ。

 4冊のうち、最も早く10月7日に発売されるのは「荒汐部屋のモルとムギ」(リトルモア)。モルだけでなく、もう1匹の雄猫のムギと部屋の力士12人も登場する。インターネットの先行予約も好調で「期待も込めて他の出版物より初版の部数は多い」と、リトルモアの担当者の鼻息は荒い。

 猫は人間の約5倍の早さで年を取るとされ、モルは還暦のころか。荒汐親方(元小結大豊)は「うちでは猫が一番有名人。ノイローゼになるぐらいカメラを向けられているよ」と気遣っている。癒やしの存在が部屋のスター的存在へ。この日負け越しが決まった部屋頭の蒼国来は「俺がダメだから」と苦笑いしていた。【桑原亮】