ボクシングのWBO世界スーパーフライ級王者井上尚弥(23=大橋)が1日、8日の同級1位ダビド・カルモナ(メキシコ)との2度目の防衛戦に向け、横浜市内のジムで練習を公開した。6月上旬には、昨年12月に結婚した咲弥夫人(22)と約350人を招いた豪華な結婚式を予定する。減量を含め、コンディションは万全。気を引き締め、負けられない戦いに臨む。

 最高の仕上がりだ。井上は約1時間の練習を終えると「追い込めるだけ追い込んできた。調整は今までで一番。圧倒的な内容で勝つ」と力強い言葉を並べた。計110回消化したスパーリングでは、3階級上の日本フェザー級5位渡辺のガードした右腕を強打で骨折させてしまい、フィリピン人パートナーはボディーで何度ももん絶“KO”に追いやった。大橋会長は「35年ボクシング界にいるが、見たことがない光景。さらに進化した」とV2戦勝利に自信を示した。

 負けられない理由もある。試合1カ月後に、結婚披露宴を予定しているのだ。具志堅用高氏、八重樫東ら親交のある新旧世界王者も多数招待しており、350人を超える豪華な式になる見込み。「このタイミングでベルトを失うわけにはいかない。絶対に勝つと気合が入る」と拳を握った。

 愛妻への感謝の思いも力に変える。晴れの舞台に向け、ホテル側との打ち合わせなど、準備は咲弥夫人に任せきり。食事面でも、飽きのこない減量メニューを考えてもらうなど、ボクシングに集中する環境を整えてくれた。「きっちり勝つことが恩返しだと思っている」とリング上で大黒柱の責務を果たすつもりだ。

 2月には、静岡・熱海の海岸で1週間の走り込みキャンプを行い、下半身強化に時間を割いてきた。父の真吾トレーナーは「下が強くなり、さらにパンチに力が乗るようになった」と手応えを口にした。迎え撃つ指名挑戦者のカルモナはボクサータイプの技巧派。世界戦5試合連続KOがかかる井上は「今回は自分から仕掛けていく試合になる。圧倒して世界にアピールしたい」と豪快決着を予告した。【奥山将志】