WBA世界ライトフライ級王者田口良一(29)が、初物ずくめのV4戦に臨む。所属のワタナベジムが4日に都内のジムで、8月31日に東京・大田区総合体育館でのダブル世界戦を発表した。田口は世界戦で初のメインに抜てきされ、2階級制覇を狙う同級1位宮崎亮(27)と初の日本人対決が決まった。重圧を感じながらも初のKO防衛を狙う。WBAスーパーフライ級王者河野公平(35)もV4戦で、暫定王者で同級1位ルイス・コンセプシオン(30)との統一戦となった。

 田口は会見後にメインカードと知らされた。「エッ!」と絶句して「びっくりです。メインは内山さんの席。河野さんもいるのに」と戸惑いをみせた。過去27戦でメインは日本タイトルの3試合だけ。世界戦4試合はすべて内山の前座で、河野を加えたトリプルでは露払いだった。王座陥落の内山が復帰しても、早くて大みそかを予定する。大トリ不在に加え、ずっと口にしてきた日本人対決が実現した。先輩で階級も上の河野を差し置いての抜てきとなった。

 会見では「いつもより緊張している。まだ顔は見てない」と、宮崎をチラ見しただけ。13年の井上戦以来7試合ぶりの日本人相手。「注目度は違うので楽しみ。メインにふさわしい試合をしたい」。そうは言ったが、表情には一層の緊張感が漂った。V3戦直後から宮崎と対戦濃厚といわれていた。「ジャブを生かして中に入らせない」と13センチの身長差を生かしたい。「打ち合いが好き者同士。チャンスにはKOを狙っていく」。世界戦では4試合でダウンを14度奪ったがTKO止まり。初物の重圧をはねのけ、今度こそKOでメインを飾りたい。【河合香】

 ◆主な日本人同士の世界戦 67年のジュニアライト級タイトル戦で、挑戦者小林が12回KOで王者沼田を破ったのが初。94年にはWBCバンタム級王者薬師寺が暫定王者辰吉と対戦。戦前の挑発合戦など注目された一戦は、薬師寺が12回判定勝ちで王座を統一した。00年にはWBA世界ライト級王者畑山が坂本を挑戦者に指名。年間最高試合に選ばれる激しい打撃戦の末、畑山が10回TKOで王座を守った。09年の亀田興が内藤を判定で破りWBCフライ級王座を獲得した試合は、平均43・1%と高視聴率を記録した。最近では、12年のWBCミニマム級王者井岡-WBA同級王者八重樫による日本初の統一戦が有名。試合は井岡が判定勝ちし、王座を統一した。