日本ライトフライ級王者の拳四朗(24=BMB)が、同級5位大内淳雅(30=姫路木下)を3-0の判定で下した。同級王座2度目の防衛に成功し、東洋太平洋同級王座も獲得。父の寺地永会長(52)は、元日本ミドル級&元東洋太平洋ライトヘビー級王者で、国内初の日本&東洋太平洋2冠獲得親子となった。

 父が20年前に奪った東洋太平洋のベルトを、息子の拳四朗も腰に巻いた。「これ、父さんのおさがりなんですよ。負けてたら、おさがりをもらえなかったんで。良かったです」。自宅の押し入れに保管していた父のベルトを無事に手にして、笑みがこぼれた。

 ジャッジ3人のポイントは117-111、119-109、119-108と大差だった。だが、タイトル奪取に執念を燃やす大内に、前半は苦しめられた。強烈な右ストレートを浴びた左目は珍しく腫れ上がり「夏やのに街を歩けないですね」と苦笑した。

 苦しい中、リズムを取り戻せたのは、セコンドに父がいたからだ。5回までは打ち合いで、思った以上に距離が近づき、被弾した。「KOを狙って焦りました。狙うとダメですね」と拳四朗。だが、父から、距離を取ってジャブから組み立てるよう助言されて我に戻った。父の寺地永会長は「相手以上に焦って、もらった部分があったけど、またジャブからの攻めに切り替えて、冷静になれた」と、中盤から修正した息子をたたえた。

 国内初の日本&東洋太平洋2冠獲得親子になったが、2人の夢はまだ先にある。「僕の中では通過点。上を目指して頑張っていきたい」と拳四朗。父も「あと1歩です。目標は世界なので。遅くても来年、早ければ今年中に(世界王座を)取れるようにしたい」と言い切った。名前の由来は、人気アニメ「北斗の拳」の主人公ケンシロウ。顔は、まだあどけないが、世界につながる階段をまた1つ駆け上がった。