プロボクシングのWBO世界バンタム級6位大森将平(24=ウォズ)が「長谷川パワー」で世界をつかむ。13日は京都市内の所属ジムで練習を公開。23日に控える同級王者マーロン・タパレス(25=フィリピン)相手の世界初挑戦(エディオンアリーナ大阪)に向け「練習してきたことを、最後の残り10日間で高めたい。ディフェンスを磨いてきた。ここからさらに研ぎ澄ましたい」とスパーリングなどで汗を流した。

 大森の背中を力強く押すのは、昨年現役引退した元3階級世界王者長谷川穂積氏(36)の存在だ。前日12日も元チャンピオンは自身の練習を視察。15年12月、今回戦うタパレスに2回TKO負け(WBO指名挑戦者決定戦)を喫した後には「世界を取る前に負けて良かった」と予想外の言葉をかけられたという。

 プロ初黒星で落ち込んだ時に「そう言えるのは穂積さんだけ。励みになった」と救われた。長谷川もプロデビュー5戦で2敗。そこから日本を代表する名ボクサーになった。大森は「長谷川さんがスパーリングを見に来てくれるだけで、モチベーションが上がる」と感謝を口にする。

 だからこそ、苦杯をなめさせられたタパレスを倒し、成長を示さなければならない。大森の覚悟は言葉ににじむ。「ベルトというより、リベンジ。そのおまけにベルトがついてくる感じ。タパレスを倒す。そのおまけに、世界チャンピオンがある」。相手は31戦29勝(12KO)2敗の強者。プロボクシング人生唯一の黒星、唯一のダウンを喫した相手に、一泡吹かせる時がやってくる。