15日開催の「DREAM」旗揚げ(さいたまスーパーアリーナ)に参戦するミルコ・クロコップ(33=クロアチア)が、試練に立ち向かう。13日に来日したが、打撃コーチがパスポートを紛失し、帯同できないアクシデントに見舞われた。対戦する水野竜也(26)の情報が乏しいなど、困惑が続く中での新団体参戦になる。それでも本人は「日本のファンの前で試合ができることが何より」と、逆境をエネルギーに変えて戦う構えだ。

 約1年半ぶりに日本のリングへ上がるミルコに、予想外のハプニングが起こった。母国出発直前、打撃コーチのマリアノ・ジゼビッチ氏がパスポートを紛失したことが発覚。試合当日に間に合うかどうかも微妙な状況で、成田空港に着くなり「驚いた。開いた口がふさがらなかったよ」と苦笑いを浮かべた。

 何もかもが今までと違う中での戦いとなる。これまで大半の試合に帯同してきたスパーリングパートナーのイゴール・ポクラヤッツが、15日にオランダで試合があるために帯同せず。追い打ちをかけて打撃コーチも不在で「試合前の練習は最悪、ほかからパートナーを借りてこなければならない」。野球に例えるなら、受ける捕手がいないため練習投球なしでマウンドに上がる投手のようなもの。新団体参戦は、試練の連続となった。

 それでもミルコは逆境をエネルギーに変えていく。日本は無名だった自分を大きくしてくれた「第2の故郷」。そこで試合ができることが「一番のモチベーションだから」と言う。来日後にはプラス材料も。対戦する水野はメジャー団体初参戦で、母国では映像などデータが見つからなかった。それがこの日、日本のスタッフから水野の試合映像を入手。「顔すらおぼつかなかったことを思えば、対策までは立たなくてもイメージぐらいできるから」と前向きに転じた。

 新団体DREAMへの電撃参戦を決めてから約1カ月。ドタバタの末に試合当日を迎えることになったが、どんな状況下でも日本のファンの前では「強いミルコ」を見せる覚悟だ。