<プロボクシング:WBC世界バンタム級タイトルマッチ12回戦>◇12日◇日本武道館
米挑戦にゴーサイン!
WBC世界バンタム級王者の長谷川穂積(27=真正)が豪快KOで、悲願の米国進出をたぐり寄せた。同級9位ファッシオ(ウルグアイ)から左ストレートでダウンを奪うなど、世界戦自己最速の2回TKO勝ち。国内5位に並ぶV6とした。これで王者陣営は、10月の米デビューに向け交渉を開始。本場ラスベガスでビッグマネーを稼ぐ「100万ドルボクサー」へ前進する。
2つの拳で悲願の米挑戦を引き寄せた。世界戦では自己最速となる衝撃の2回TKO。わずか318秒で決めた。圧巻の防衛劇。これが日本のエース、これが長谷川穂積のボクシングだ。「結果的にKOできてよかった。いいところでパンチが当たった。狙っていたのがドンピシャで入った。手応えがあった」。長男大翔くん(5)を抱いたリングで、傷ひとつない顔で涼しげに振り返った。
「アメリカンスタイル」が4試合ぶりのKO防衛を生み出した。持ち味のスピードとカウンターに、この試合では好戦的スタイルを加えた。観客がKOを求める米リングを見据えて進化した。様子見の1回でファッシオの力量をインプット。「右の次は左が飛んでこない」。前に出てプレッシャーを強め、2回1分30秒すぎには必殺の左カウンターがさく裂。ダウンを奪って戦意を喪失させると、高速連打でレフェリーストップを呼び込んだ。
06年5月のロサンゼルス合宿を経験して、米国という新たな目標が生まれた。あこがれの気持ちが募り、愛車は米国製のキャデラックに替えた。常に戦うモチベーションは海の向こうにあった。この日の力強い王者の姿は本場のリングにふさわしい。
「米国に行くだけじゃダメ。強い相手と戦いたい」。海外挑戦のみならず、将来的には米国での複数階級制覇、他団体との王座統一を目標にすえる。米リングで強豪に連勝して人気を得れば、夢の「100万ドルボクサー」も視野に入り、現在の数倍の報酬が見込める。フィリピンから主戦場を米国に移して成功したアジア初の世界3階級王者マニー・パッキャオ(フィリピン)が手本だ。
長谷川の世界戦を手がける世界的プロモーターの帝拳ジム本田明彦会長(60)もゴーサインを出した。前回の判定防衛後には“追試”を課したが、今回は「相手探しに具体的に動きたい。海外で日本のボクシングをアピールするチャンス」と明言。実現なら日本人初の米本土での世界防衛戦だ。同会長は長谷川と今夏にも米国視察する準備を進行中。長谷川にダメージはなく、次戦は10月にも予定する。標的は元2階級制覇王者ホルヘ・アルセ(メキシコ)が最有力。1試合で数億円を稼ぎ出す軽量級スターとのビッグマッチが、アメリカンドリームの第1歩となる。
「タイミングが合えば米国に行きたい」。有言実行のKOで米挑戦権を獲得した長谷川は、次のステップを求めた。目指すは日本発のビッグスター。「ホヅミ・ハセガワ」の名を世界に広く知らしめる日は、確実に近づいた。【大池和幸】

