WBA世界フェザー級4位の榎洋之(29=角海老宝石)が、「バックギア」を捨てて世界初挑戦のリングに立つ。24日、東京・後楽園ホールで同級王者クリス・ジョン(29=インドネシア)に挑む。23日に都内で行われた計量を1回でパス。会見では9度防衛を誇る相手を「偉大な王者」とたたえた上で「ぶつかっていくだけ」と玉砕覚悟の打撃戦を宣言。駆け引きを考えずにKO勝利を量産した若手時代に戻る。

 調印式を終えた榎が、言葉をかみしめるように切り出した。「(アマチュアを含め)15年やってきた中で、こういう舞台に立てることが楽しみでしょうがない。全力でぶつかって、いい試合をしたい」。9度防衛を誇る技巧派王者にも気後れはない。玉砕覚悟の打撃戦を決意していた。

 「楽しみ」は呪縛(じゅばく)からの解放宣言でもあった。27勝中19KOを誇る。打撃戦は得意中の得意だった。しかし、06年9月の世界6位(当時)のフセインに判定勝ちして以来、この2年間は4勝1KO。世界戦がなかなか決まらず「世界戦までは負けられない」と自重してきたが、もうその心配もなくなった。

 同級のライバルで今年4月に無敗対決で引き分けた粟生隆寛(帝拳)の世界挑戦失敗も教訓になった。今月16日にWBC同級王者ラリオスからダウンを奪いながらも判定負けした。木内勲トレーナーは「世界はわずかなチャンスに攻めきれるかどうかが勝敗を分ける」と分析。榎も「毎回が最終回のつもりで攻め続ける」と強調した。

 計量は57・1キロのリミットで一発パス。「面倒くさい」と伸び放題だった丸刈り頭と無精ひげも「そってきます」と笑った。【山田大介】