総合格闘技団体DREAMが、3日にプロ格闘家への転向を正式に表明した石井慧(21=国士舘大4年)と「60億分の1の男」エメリヤーエンコ・ヒョードル(32=ロシア)の初対面を計画していることが分かった。4日、関係者が明かした。今年大みそか開催の「Dynamite!!」(さいたまスーパーアリーナ)で実現させたい意向で、近日中にも石井の正式招待を発表することになりそうだ。

 北京五輪柔道金メダリストと世界最強の男-。文字通り「夢」の初対面が、今年大みそかにも実現する可能性が急浮上した。DREAM関係者によると「近いうちに石井選手を(Dynamite!!へ)正式に招待することになると思う」と話した。同大会にはヒョードルも来場予定で、初対面後はリングサイドでそろって観戦、さらに2人でリング上からファンにあいさつすることも想定している。

 石井にとって待ちに待った瞬間だ。かねてヒョードルの実名を挙げて「強い選手はまだいる。自分はまだまだです」と口にしていた。その言葉を聞いたDREAM側が北京五輪終了後の今年9月、石井とヒョードルの初対面を計画。だが取材依頼が殺到したことで直前に中止となった経緯がある。

 石井は現在、大みそかの「第59回NHK紅白歌合戦」のゲスト審査員として、出演を打診されている。石井に近しい関係者は、これまでに「五輪金メダルもNHKの中継だったし、今年を紅白で終えるのもいいだろう」と話している。だが格闘技界の一大イベント「Dynamite!!」からのオファーとあれば、来場に傾く可能性は高い。

 この日、取材に応じた笹原圭一イベントプロデューサー(EP=41)は「石井選手はまだ学生なので慎重にことを運んでいきたい」と言うにとどまった。一方でヒョードルは来年1月に米総合格闘技団体アフリクションへの参戦を控えているために大みそかの出場は見送る方向だが「来日に関しては現在も交渉しています」と同EPは話す。

 石井は「今の実力では(総合格闘家に)失礼」と話していることから、年内の総合格闘技参戦の見込みはほぼなくなった。その一方で、あこがれてやまない最強の男との「視殺戦」で激動の1年を締めくくることになるかもしれない。