西岡左アッパー8連打でV1/ボクシング
<プロボクシング:WBC世界スーパーバンタム級タイトルマッチ12回戦>◇3日◇パシフィコ横浜
WBC世界スーパーバンタム級王者の西岡利晃(32=帝拳)が、魂の左アッパー8連打で初防衛戦をTKOで飾った。3回に右拳を痛めたが、同級7位ヘナロ・ガルシア(31=メキシコ)を左手1本で圧倒。4、9回にダウンを奪った。9回に左拳も痛めたが、最終12回にKOを狙ってラッシュ。左アッパーの連打で12回57秒レフェリーストップによるTKO勝ちを収めた。来月1日に美帆夫人(27)長女小姫ちゃん(2)と結婚披露宴を行う。
「倒す」。それしか頭になかった。11回までに2度のダウンを奪った。8回終了後に公開された採点は大差でリード。それでも「これだけリードしていたら、みんなKOが見たいでしょう。自分も倒したかった」。最終12回、西岡はKOを狙ってラッシュした。鬼の形相で左強打を振り回した。最後は左アッパー8連打。タフなガルシアをロープダウンに追い込むと、レフェリーは、たまらず試合を止めた。
試合後は右拳をアイシングしながら「言い訳はしたくないんですが、痛かった」と表情をゆがめた。3回、猛進する相手の頭部へ右フックを打ち込んだ際、負傷した。リードパンチが出せなくなる大きなハンディだったが、リング上では、顔色ひとつ変えず、左手1本だけで戦った。その左がこの日は切れた。1階級下の7度防衛中の世界バンタム級王者・長谷川穂積に挑戦して判定まで粘ったタフな挑戦者を、4回に左アッパーで倒した。9回には左ストレートでダウンを追加。その9回以降は左拳も痛めたが、気迫でパンチを放ち続けた。
昨年9月、5度目の挑戦で32歳にして悲願を達成した。しかし、その後もハングリー精神を失わなかった。「王座も守るつもりはないし、初防衛に挑戦する気持ちだった。あの王者には勝てないといわれるような存在になりたい」。ロードワークは10キロから12キロに増えた。練習では1ラウンドを4分に延長、1分間の休みを30秒に短縮した。「王者になる前より練習量は増えた」とジムの先輩世界王者の浜田剛史氏は話す。
王座奪取前の昨年1月から続けた家族との別居の継続も決めた。「家族だんらんは現役を終えてからでいい」と、再び美帆夫人と長女小姫ちゃんを神戸の実家に残し、東京で生活した。来月1日には大阪市内で、家族3人での結婚披露宴を予定している。わがままを貫いただけに「披露宴にベルトを持っていく」と心に誓った。家族との約束を守るためにも必死だった。
次戦は元WBO王者で同級2位ジョニー・ゴンサレス(メキシコ)と米国での対戦も有力になった。西岡は「正月がようやく明けました。まだ先のことは考えたくないですね」と久しぶりに心からの笑顔を見せた。世界初挑戦から9年越しで王者になった遅咲きの男が、世界進出のチャンスまで引き寄せた。【田口潤】
[2009年1月4日8時25分 紙面から]
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