全日本プロレスが来月下旬にも台湾・台北市内に初の海外オフィスを設立することが24日、分かった。提携関係にある現地の会社に開設し、興行などビジネス全般の窓口として、当面は現地採用の数人の社員で運営する。国内のプロレス団体がアジアにオフィスを設けるのは初めて。武藤敬司社長(46)は「北京語圏へアプローチする基地になる」と話しており、巨大市場の中国を視野に入れて、本格的なアジア進出の拠点とする計画だ。

 アジア進出の野望実現に向けて、全日本が台湾に拠点を確保した。今月中旬、今年の興行開催の交渉のため、内田雅之取締役が台湾や香港、マカオを訪問。提携関係にある、キャラクターグッズ販売や映画の配給を手掛ける「San-Byte台湾」と協議して、台北市内のオフィス街中心地の17階建てビルの11階にオフィスを開設することが決まった。

 全日本は昨年11月の台湾興行で、台北アリーナに約1万人の観衆を集め、定期開催に手応えを得た。今年は台湾、香港、マカオを巡業するアジアツアーを計画中。さらに最大のマーケットである中国進出に向け、台湾に拠点を置くことを検討していた。アジアにオフィスを設けるのは、72年旗揚げの全日本としてはもちろん、国内のプロレス団体として初めて。武藤敬司社長は「特に北京語圏へのアプローチする基地としたい」と意気込んだ。

 台湾オフィスはプロモーターとの交渉やレスラーのCM出演交渉などが主な役割になる。まずはインターネット上に全日本の北京語サイトを立ち上げて、ファンの拡大を図っていくという。北京語は中国、台湾の公用語で、広東語が公用語の香港でも通じる。台湾と違って中国、香港はケーブルテレビで全日本の試合が放送されておらず、内田取締役は「動画を増やして、まずは知ってもらうことから始めたい」と話した。

 台湾プロモーターからはすでにシンガポール、マレーシアでの開催も持ち掛けられているという。武藤社長は「長期戦略として、中国含むアジアツアーに向け準備を進めたい」と、実現に向けて着実に手を打っていく。