WBC世界フライ級王者内藤大助(34)が、同級14位の熊朝忠(26=中国)との5度目の防衛戦で、早期KO決着を狙う可能性が出てきた。対戦まで1カ月を切り、所属する宮田ジムは謎に包まれた挑戦者の情報収集を本格的に開始。その結果、熊が23歳まで3000メートル級の高地・昆明で、人力車を引く仕事をしていたことが判明した。

 ボクシングを始めて3年で世界挑戦の機会を手にした最大の要因は、この仕事で鍛えた心肺機能を武器にした無尽蔵の持久力だった。宮田博行会長は、中国側のプロモーターから「熊には心臓が2つあるようなもの。試合が終わっても、すぐ2、3試合できる」と説明されたという。

 内藤は24日に上海で挑戦者と初対面。彫刻のような上半身に「1発食らったら危ない」と慎重策をほのめかした。だが、宮田会長は「長い間パンチを浴び続けたら、ガードの上からでも消耗する。これから相談ですが、早期KO狙いですね」。野木トレーナーの指導でスタミナを強化した内藤だが、V5成功のカギは、勝負を仕掛けるタイミングにありそうだ。【森本隆】