<ノア:愛知大会>◇18日◇愛知・ZeppNagoya

 三沢光晴さん(享年46)が健在であれば47回目の誕生日となった18日、愛知・Zepp

 Nagoyaでノア名古屋大会が開催された。これまでと同じように試合前に全員で黙とうをささげただけだったが、選手やファンたちにとっては「特別の日」。会場には超満員1300人の観客が詰め掛け、選手たちも三沢さんへの思いを胸に、リングで奮闘した。

 第1試合、鈴木は今はなき師匠になりきった。エルボー、フェースロックなど三沢さんの得意技を次々と繰り出した。最後は三沢さんの代名詞ともいえるタイガードライバーで伊藤旭彦を撃破。会場のファンから大きな歓声を浴び「今、社長の教えを、リングで表現できるのはオレしかいない」と真顔で言った。

 三沢さんの付け人を過去最長の5年間務めた。そして誕生日も同じ6月18日。毎年、誕生日には三沢さんと酒席を共にした。昨年はプレゼントに三沢さんがガンダムのフィギュア、鈴木は仮面ライダーのジオラマを用意、お互い交換した。「今年も一緒に祝いたかった。生きているボクたちが頑張って社長の遺志を引き継がないと」と話し、控室に消えた。

 13日に三沢さんの最後の試合でタッグパートナーを務めた潮崎は、6人タッグマッチに出場した。佐々木とチョップの応酬を繰り広げるなど大奮闘。勝利の原動力になった。三沢さんが急死した翌日の14日の博多大会でGHCヘビー級王座を初めて獲得したが、まだ喜ぶことができないでいる。「今日は社長(三沢さん)とタッグで誕生日を祝いたかった。GHCの名に恥じぬ王者を目指したい」と気を引き締めた。

 三沢さんの最後の対戦相手となった斎藤は、13日の試合で組んでいたスミスと再びタッグを結成。15歳から住んでいる第2の故郷の大歓声をバックに、フォール勝ちを奪った。試合後、リングサイドに飾られた三沢さんの遺影を、スミスがリング上に持ち込んで、頭を下げると、斎藤の目から涙があふれ出た。「最後の対戦者として負けられなかった。もう泣かないと決めていたのに遺影を見たらまた涙が出た。生きていれば47歳、いい誕生日を迎えられたのに。生きている社長に頭を下げたかった」と、またおえつを漏らした。【塩谷正人】