WBC女子世界ミニフライ級6位菊地奈々子(35=白井・具志堅)が12日、9月13日に同級王者オルティス(メキシコ)に挑戦すると発表された。王者はアマ127勝3敗で、プロでは12勝1敗の強豪だ。それでも菊地は「人生をかけて戦う」と並々ならぬ決意。男女通じて同ジム5度目の挑戦で初の世界王者を期待する具志堅会長は「取らせたいね」としみじみ語った。

 異色の経歴を持つ。東京工芸大短期大学部写真技術科卒業後、アシスタントを経て格闘技などを撮るフリーカメラマンになった。だが22歳時に見たアニメ「あしたのジョー」の感動が忘れられず、26歳でボクシング開始。翌年デビューし、05年にはタイの刑務所で服役囚との同級王座戦に挑み世界王者となった。2戦2勝の“監獄マッチ”を「ジョーに通じると思ってうれしかった」と笑えるのは豊富な人生経験ならではだ。写真撮影でも、王者の写真をかむポーズの要求に「必要ですか?」と苦笑しつつ、元カメラマンだけに「盛り上げてくださいね」と思い切り何度もかみついた。「全身全霊かけます」。この女性ボクサー、ただ者ではない。【浜本卓也】