1964年東京五輪の柔道無差別級金メダリストのアントン・ヘーシンク氏(オランダ)が27日、オランダ・ユトレヒトの病院で死去した。76歳だった。死因は不明。

 73年から5年間、プロレスラーとして全日本マットでも活躍したヘーシンク氏の悲報に、プロレス界も大きなショックを受けた。プロレスでの対戦はないが、坂口征二氏(元新日本社長)は柔道時代に福岡での親善大会や65年世界選手権(ブラジル)で故人と対戦し、ともに判定負けした。95年の幕張世界選手権で会ったのが最後という坂口氏は「武藤、橋本を連れて幕張に行き『久しぶり』と言ったら覚えていてくれた。柔道からプロレスと同じ道を歩んだが、素晴らしい選手。仲間が亡くなると悲しいね」と口にした。

 全日本でシングル対決したグレート小鹿は「話したら家族思いで温厚な正直な人。プロレス界でも柔道を忘れず、柔道を押し通した頑固な人だった」と悲しんだ。全日本で75年に開催されたオープン選手権に故人と出場したマイティ井上氏は「彼は両足指が外側に曲がって変形していた。聞いたらすり足で足払いの練習をしすぎた影響だと言っていた。ただ大きいだけではなく、努力していた人だった」と振り返っていた。