<UFC“最強”への挑戦(4)>

 UFCの舞台に、立つ運命だったのかもしれない。1月26日深夜、光岡映二(36)の携帯電話に関係者から1通のメールが届いた。開催を1カ月後に控えた、UFC日本大会の参戦オファーだった。故障で参戦を見合わせたソテロポロスに代わる、緊急参戦要請。「UFCは、選手なら誰もがあこがれる最高峰。観客として見に行くつもりだったので、まさかと驚いた」。断る理由などなかった。

 01年プロデビューから、UFCのオクタゴンと同じ金網のケージを主戦場にしてきた。国内で唯一の金網興行CAGE

 FORCEで、1本とTKO勝ちでいきなり3連勝。鋭いテークダウンと破壊力のあるひじ打ちで「金網の申し子」と呼ばれた。戦極、DREAMなど国内メジャーの舞台でも戦ったが「リングにいても、金網での戦いを常に意識していた」という。

 ひそかに「負ければ引退」と決めていた昨年7月のDREAMで、ブルーノ・カルバーリョに判定勝ちした。「年齢的にも最後のチャンス。やれるところまでやりたい」と今年は北米挑戦を目指し、階級変更も辞さない覚悟でベラトールFCなど複数の団体と交渉していた。「いつでも戦えるように」とUFCミドル級で活躍する岡見勇信らと調整を続けていたところに、ビッグチャンスが訪れた。

 UFCとは4試合の契約を結んだが、連敗すれば即解雇の厳しい世界。「プロ11年目を迎えて、充実感を感じている。五味選手との日本人対決で注目されるし、感謝してます」。光岡が、遅咲きのシンデレラストーリーを歩み出す。【山下健二郎】