立ち技系格闘技の最高峰再建へ、魔裟斗が立つ。同興行の新運営会社K-1グローバルホールディングス社が16日に都内で会見し、元K-1

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 MAX世界王者・魔裟斗(33)のエグゼクティブプロデューサー(EP)就任を発表。マッチメークや選手の発掘、競技全般を統括する。年内は27日のスペイン大会を皮切りに、北米と台北で計5大会を開催予定。また、この日、民間信用調査会社の帝国データバンクは、旧運営会社FEGが破産手続きを開始して事実上、倒産したことを明かした。

 日本人初のMAX世界王者が、新生K-1の陣頭指揮を執る。魔裟斗は09年末の現役引退後、キャスターや解説者などを務めてきたが、4月にK-1グローバルホールディングスからのEP就任を打診されて受諾。この日の会見で「K-1を立て直して、格闘技界がナメられている状況を変える。選手たちに舞台を提供して、夢をつなげていきたい」と所信表明した。

 人気低迷や経済不況によるスポンサー収入の減少で、旧運営会社FEGが経営難に陥った。地上波放送の撤退など国内需要が落ち込み、10年には海外予選を含めて計19大会を実施したが、昨年は4大会のみ。選手へのファイトマネーも遅延し、同10月にはWORLD

 GP(WGP)南京大会を中止し、活動を停止した状態だった。

 ようやく今年2月、K-1の権利や運営が現会社に移行。現役時代の実績と知名度、興行のブランド力回復の起爆剤として魔裟斗に白羽の矢が立った。現段階で日本開催や地上波放送のめどは立っておらず、既に他団体に流出した選手の確保など、再建の道のりは険しい。それでも魔裟斗は「選手の発掘やマッチメークが大事な仕事。国内外の大会にも直接足を運びたい。日本でやることにこだわらず(各開催地の)その中の1つとして考えたい」と、まずは北米などへの本格進出で国際競技として確立する考えだ。

 27日のスペイン大会を皮切りに、9月上旬には米ロサンゼルス、10月下旬に米マイアミ、11月に台北でWGPとMAXの予選などを実施。12月に米ニューヨークで決勝大会を行う。K-1再興へ、魔裟斗が第2の格闘技人生をスタートした。【山下健二郎】

 ◆K-1

 空手やキックボクシング、カンフー、拳法などの立ち技系格闘技最強を決める大会として93年に設立。正道会館館長(当時)の石井和義氏がプロデュースし、各競技の頭文字「K」のナンバー「1」を大会名とした。6メートル四方のリングで、パンチ、キック、膝蹴りなど打撃技のみで戦う。無差別級王者を決めるWORLD

 GP、中軽量級のMAX、ユース年代の甲子園を開催。昨年11月に石井氏が主にアマ部門を統括する国際K-1連盟(FIKA)を設立。今年2月に不動産・投資業のEMCOMホールディングス(東京都千代田区)の子会社、K-1グローバルホールディングスが約5億円で興行権取得。