WBA世界ライトフライ級王者井岡一翔(24=井岡)が、大みそかに3階級制覇に挑戦する可能性が出てきた。16日、和歌山・白浜で合宿をスタート。9月に予定される2度目の防衛戦に向けて、同僚の同ミニマム級王者宮崎亮(24)とともに下半身の強化に励んだ。

 父の井岡一法会長は、井岡と宮崎がダブル防衛に成功した場合、12月31日に次戦を行う見通しを示した。「宮崎は次に勝てば、ダイレクトで2階級制覇を目指す」と明言。宮崎は、井岡と同じライトフライ級で世界挑戦することになる。

 その際、井岡には3度目の防衛戦と1階級上のフライ級への転級という2つの選択肢が浮上。フライ級に向かえば、最初に獲得したWBC世界ミニマム級王座を含めて日本初の無敗3階級制覇が懸かる大一番だ。井岡は「大みそかまでは分からないが、すべてにおいて準備している。宮崎と2人で歴史を塗り替える運命の中にいれば(新記録は)必然として起こる。僕らはボクシング界を背負ってやっている」と宣言した。

 井岡は今回、一法会長が発案した「タコつぼ」トレも本格導入していく予定だ。足場が不安定な船の上に乗って海中からタコつぼを引っ張り上げる。高校時代に経験がある井岡は「当時は遊びでしたけど、広背筋や握力がつく。いろんなトレーニングがあるけど、パンチ力につながると思う」と意欲的だ。まずは9月のV2戦に向けて「自分の強さを追求すること。王者で居続けること。試合に勝つ体作りをやる」と口にした。【益田一弘】

 ◆日本人の世界3階級制覇

 達成者は亀田興毅だけ。亀田は06年8月にランダエタ(ベネズエラ)とのWBAライトフライ級王座決定戦を制すると、1度防衛して王座返上。09年11月、内藤大助に勝ちWBCフライ級王者となり22戦全勝で2階級制覇。だが、初防衛戦で敗れて王座陥落した。10年12月にWBAバンタム級王座決定戦でムニョス(ベネズエラ)を破り、3階級制覇した。現在12戦12勝(8KO)の井岡が無敗のまま3階級制覇を果たせば、日本初になる。