<プロボクシング:WBA世界スーパーフェザー級タイトルマッチ12回戦>◇12月31日◇東京・大田区総合体育館

 王者内山高志(35=ワタナベ)が、挑戦者の同級8位イスラエル・ペレス(35=アルゼンチン)に9回終了TKO勝ちし、9度目の防衛に成功した。序盤から持ち前の強打で圧倒すると、10回前のインターバルで挑戦者が棄権を申し出た。丸1年ぶりのリングで健在ぶりを証明。4年連続となる大みそかの「大トリ」でしっかりと結果を出した。

 待ちに待った1年ぶりのリングで、内山が大人のボクシングを見せつけた。ペレスの額が真っ赤に腫れるほど、左ジャブがさえた。それでも「大きいパンチだけ気をつけた」とガードを徹底。冷静に試合を運ぶと、9回に右の強打でコーナーに追い込み、一気の連打を仕掛けた。ゴングに救われた相手が直後に棄権し、勝利を奪取。あっけない幕切れに「効いているのが分かったので倒したかった。久しぶりに試合ができて良かったが、60点」と厳しい自己採点で振り返った。

 当初は昨秋に同級1位バスケス(コスタリカ)と対戦予定だったが、相手陣営の都合で流れた。日本人世界王者の試合を見る度に「ストレスがたまった」。だが、ごまかしながら戦ってきた古傷の右拳を休ませることもできた。ランニング中に転倒した時も、手を隠して前転するほど意識を集中させた。2月から取り入れた超音波治療の効果もあり、久しぶりに拳に力が戻った。試合後には「右は問題なかった。ガードが上からでも強く打っていけた」と復活を実感した。

 来月には長谷川穂積の持つ日本人の世界王座在位期間の記録を更新し、丸5年を超えて歴代1位になる。短髪のため分かりづらいが、35歳となり髪には白い物も増えた。「それが悩み」とおどけるが、肉体の衰えは感じていない。代名詞の強打は健在で、世界戦のKO率は80%で、日本歴代1位を守った。

 節目のV10戦では、ファン待望のWBC同級王者三浦隆司(帝拳)との団体王座統一戦に期待が集まる。渡辺均会長は「向こうは望んでいるし、内山も三浦が強くなっているのは認めている。条件が合えば実現させたい」と話した。日本ボクシングをけん引する男が、14年を華麗な勝利で締めくくった。【奥山将志】