亀田興毅(24=亀田)が「2010年

 亀田家必勝カラー」で日本初の3階級制覇に挑む。26日の「亀田祭り」(さいたまスーパーアリーナ)でWBA世界バンタム級5位アレクサンデル・ムニョス(31=ベネズエラ)とのWBA同級王座決定戦に臨む興毅は、黒色グローブを世界戦で初選択。黒色はWBAフライ級王者亀田大毅(21=亀田)が2月の王座奪取時から使用し、シルビオ・オルティアーヌ(32=ルーマニア)とのV2戦も黒色で戦う。興毅は弟の流れを受け継ぎながら、亀田兄弟のきずなで3階級制覇を成し遂げる。25日に都内で行ったダブル世界戦の前日計量は全員がリミットでパスした。

 静かだが、勝利への執念はほとばしる決戦前日だった。計量後、興毅は「できることすべてを出して、全力で、死に物狂いでベルトを取りに行く」と興奮せず冷静に、真顔で言った。そんな勝利への執念は、言葉だけでなくグローブの色にまで表れた。これまでの世界戦で、興毅は「白星の白」「王者の赤」「挑戦者の青」と気持ちを色にも託してきた。そして今回。「大毅が黒やから流れをもらうってことや」と世界戦5試合目で初めて黒を選んだ。

 亀田家にとって、黒色は今年のラッキーカラーだ。2月に大毅が世界戦で初使用し、デンカオセーン(タイ)との再戦を制した。9月の初防衛戦では、かつて亀田家が所属した協栄ジムの坂田を破って因縁に終止符を打ち、亀田家の世界王者ゼロの危機を救った。大毅は今回も黒グローブを使う。興毅は3月は青色をあえて選び、王座から陥落。今回は世界戦2連勝中の大毅にあやかりつつ、亀田家のきずなも追い風にしたいとの思いもあったようだ。

 前日計量では、少し緩めのムニョスと比較にならない、完ぺきな肉体を披露した。写真撮影で拳をあごに近づけられても「そんなんしてたん?」と笑い、調印式でKO宣言されても「大丈夫。こっちも狙ってるし」と気持ちは乱さなかった。「コンディションは最高。ただ勝つだけやったら見てる人もおれも満足せえへん。ビッグファイトして3階級制覇するよ」。メンチ切りもパフォーマンスもいらない。すべての準備を終えた興毅は、穏やかな表情で誓った。【浜本卓也】