大関照ノ富士(23=伊勢ケ浜)が、予期せぬ事態に見舞われた。今場所2度目の大関対決で稀勢の里(29=田子ノ浦)に敗れ、2連敗。土俵際に寄られた際に右膝が内側に入ると、そのまま崩れ落ちてあおむけに倒れ、顔をゆがめた。花道では付け人の肩を借り、足を引きずるように引き揚げた。

 支度部屋の風呂場では2度「アー!」と叫んだ。報道陣の取材にはいつも淡々と答えるが、多くを語らず。右膝の状態を問われると、一呼吸置いてから「(音が)ありましたね」と言った。そのまま国技館内の相撲診療所へ直行。エックス線検査を受けた。骨に異常はないが靱帯(じんたい)損傷の可能性があるという。

 治療を終えて部屋に戻った照ノ富士は、無言を貫いた。師匠の伊勢ケ浜親方(元横綱旭富士)は「これから話をする。具合も見てみないと。明日、割(取組表)が出るまでには決めます」とだけ話した。横綱鶴竜(30=井筒)が2敗を守り、独走態勢かに思われた優勝争いは混戦模様に。残り2日間の戦いを「普通。いつもと変わらない」と言う照ノ富士に、試練が訪れた。