横綱白鵬(31=宮城野)が、力の差を見せつけた。

 全勝同士の対決となった大関稀勢の里(29=田子ノ浦)に、あえて右張りから相手得意の左四つで組む。押し込まれて俵に右足がかかったが、持ち直すと、相手十分の体勢から下手投げを2度狙う。バランスを崩したところを投げ飛ばして13連勝とすると、こう言いはなった。

 「勝つなら勝ってみい、それで横綱になってみろ、という感じで行きました。今日の一番は『勝っていいんだよ』という感じだったんだけど、勝たなかったからね。何かが足りないんだろうね。横綱白鵬を倒すのは、日ごろの行いが良くなければ。それしか思いつかない、今は」

 高いレベルの成績なら綱とりのかかる稀勢の里に、満員札止めの館内は「稀勢の里コール」。白鵬にとっては完全アウェー状態だったが、因縁の相手を腕試しする余裕も感じさせながら単独首位に浮上した。

 14日目に横綱日馬富士に勝利し、稀勢の里が負ければ、早くも優勝が決まる。「あと2日、集中して、今日みたいな良い相撲を取りたい」。自身の持つ最多記録を更新する37度目の賜杯へ、視界は開けた。