新横綱稀勢の里(30=田子ノ浦)がかろうじて全勝を守り、単独トップに立った。

 直前の一番で、弟弟子の関脇高安(27=田子ノ浦)が横綱鶴竜に敗れた。勝てば単独トップに立つ結びの一番。だが、場所前の稽古で左目上付近に裂傷を負わされた東前頭4枚目の嘉風(35=尾車)の押しに防戦一方となる。右に回り込んで立て直そうとするも、今度は寄りに後退した。

 しかし、今場所の新横綱は、俵に足をかけてからの粘りがある。右から小手で振り、最後は左からの突きで体を入れ替えた。場所前の逆転の送り出しで、初日からの連勝を11に伸ばした。「集中してやれたので、いいんじゃないの」と息をついた。

 ただ1人の全勝。そして、初場所10日目から続く連勝も自己最多の17に伸ばした。しかし、口から出る言葉は少しも変わらない。「今日は今日で、また明日集中してやる」。心を波立たせることなく、残り4日間を見据えた。