大相撲冬巡業初日が3日、元日馬富士関の暴行問題の余波を感じさせるピリピリムードの中、長崎・大村市で始まった。朝稽古の前に貴乃花親方(元横綱)に代わって巡業部長を務める春日野広報部長(元関脇栃乃和歌)から、十両以上の力士らに訓示があり「バスには乗れ。別行動は認めない」と要求。次の巡業地へ移動する際は、全員一緒のバスで移動することを義務づけた。支度部屋入り口の横には「別行動を一切認めません」と書かれた紙を張る徹底ぶりだ。

 前乗りした2日、大村市の夜の街にも厳戒ムードが漂った。協会関係者によると、宿泊ホテルや飲食店、力士らが使うコインランドリーなどで、小型カメラを忍ばせた人を多数目撃したという。「どこかのテレビ局だと思うけど、さすがにやりすぎだ」と不満を募らせた。力士らからは、夜に出歩くのを自粛しているという声も多く上がった。

 この日の巡業は、ほぼ満員の4200人が観戦に訪れた。横綱白鵬、鶴竜も稽古場に姿を現し、結びの一番で相撲を取って大歓声を浴びた。しかし、報道陣の取材に応じることはなく、土俵の外に緊張感が漂った。