照ノ富士の横綱昇進や、白鵬(現間垣親方)の現役引退など、今年の大相撲は話題豊富な1年となった。新型コロナウイルス禍でさまざまな制限が敷かれる中で、土俵上では多くのドラマが生まれた。年6場所で幕内を務めた力士が対象の「第10回日刊スポーツ大相撲大賞」は、独自調べで発掘した好記録や珍記録を表彰する。第1回は大関在位2年目に突入した正代(30=時津風)の「大枚逃したで賞」。

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思わぬ結果に正代はしばし沈黙したが、すぐに受け入れた。「そうですか…。懸賞は欲しかったなと思いつつ、なるべく気にしないようにしていましたけど」。今年1年で最も多くの懸賞金を逃した「大枚逃したで賞」を受賞。582本は手取りで1746万円に相当する。昨年9月の秋場所後に昇進。大関として初めて6場所を務め、上半期は結びを務めることも多く「(取組あたりの懸賞本数が)必然的に増えているんですよね」と、冷静に分析する。

逃した懸賞を獲得できていれば-。「車でも買えちゃいますよね」。部屋から両国国技館は徒歩10分。地方場所も送迎してくれる関係者がいるため、大関昇進後も必要性がなく1年がたった。「現役のうちは運転できないので(購入は)もう少し考えます」と、検討を続ける。

「あとは、時計でしょうか」。実は高級腕時計のコレクションが趣味。「5、6本あって部屋に並べています。合理的な買い物じゃないかもしれませんが、これだけ小さいものが数百万するんだ…となるんです」。刺激的な買い物を続けるためにも、22年はより多くの懸賞を手にしたい。【佐藤礼征】