新関脇の若隆景(27=荒汐)が、この日も冷静さとうまさを兼ね備えた相撲で、1差の2敗で追っていた平幕の琴ノ若(24=佐渡ケ嶽)を退け1敗をキープ。11勝目を挙げ大関経験者の高安(32=田子ノ浦)とともに優勝争いでトップを並走する。

鋭い踏み込みから差した右を琴ノ若に抱えられ、小手投げで振られ、腕ひねりで揺さぶられたが盤石の腰で残し、最後は危なげなく寄り切った。

【取組速報】大相撲春場所12日目全取組

連日、高い評価をしている日本相撲協会の八角理事長(元横綱北勝海)は、この日も「立ち合いで押されたけど慌てなかった。おっつけながら残すという意識があったね」と精神面の充実ぶりを、まずは褒めた。「押された時に、投げとか突き落としに行っていたら(琴ノ若に)寄り切られたでしょう。左からのおっつけで差されなかったのも効いた。それだけ、おっつけで厳しい相撲を取れるという自信があるのだろう」と冷静さも感じ取り、今や若隆景の代名詞とも言える「おっつけ」を強調した。

過去の三役は小結が1場所だけだが、この1年半は前頭3枚目以内と上位をキープする若隆景。今場所は大躍進だが、同理事長はその兆しを感じ取っていたかのように話す。「11番は立派です。前回の三役にしても負けはしたけど、良い相撲で負けていた。大化けするような内容だった」と、黒星の中にも光るものを感じ取っていた。残りは3日。優勝への意識については「高安と並んでいるから、まだ(意識は)ないんじゃないかな。14日目とか千秋楽ぐらいに感じるんじゃないかな」と心中を察した。