【パリ12日(日本時間13日)=横山慧】ぱるるが、フランスで“仏(ほとけ)の境地”に達した。AKB48島崎遥香(21)が、市内で行われた「第21回エトランジェ映画祭」に招待され、主演ホラー映画「劇場霊」(中田秀夫監督。11月21日公開)のワールドプレミアと舞台あいさつに出席した。持病のぜんそくで先月7日から活動休止。この日から復帰した率直な心境を語った。

 舞台あいさつなどを終えた島崎の表情は、つきものが取れたかのように晴れやかだった。

 「もう私は、仏になりました」

 約1カ月の休養と、花の都・パリでの初仕事を終え、悟りの境地に達したという。

 今年春ごろ、風邪をひいたのをきっかけに悪化した持病のぜんそくは、思った以上に重い症状だったという。検査の結果「人に比べて肺呼吸ができていない、異常な数値」と診断された。先月上旬に再度症状が悪化。島崎を気遣った同期の横山由依(22)がスタッフに休養を持ち掛け、活動休止が決まったという。現在も完治しておらず、パリでも、現地テレビ局のインタビューの合間に、軽くせき込む場面が何度かあった。

 「3カ月間強い薬を飲んでいてもなかなか治りませんでした。お医者さんからは精神的なものも原因かもしれないと言われました」

 マイペースなキャラで知られ、日ごろのテンションの低さから、「塩対応」と親しまれる。だが、AKB48加入当時から「次世代エース」と呼ばれ、多くのメディア露出などのチャンスを与えられてきたため、一部からやっかまれることもあった。ぜんそくで握手会やイベントを欠席すると、心無いファンからインターネット上で「サボりだ」「ちゃんと働け」などの批判を受けることもあった。

 「グループの中での競争はどこに行ってもあることだから、仕方ないです。最後は、自分が頑張るしかない。(批判は)もう気にしないようにしています。じゃないと、体がもたない」

 休養中は家に引きこもりがちだったが、医者からも「楽しいことをした方がいい」と言われ、外出を増やした。「お母さんみたい」という親友の島田晴香(22)からは、毎日のように夕ご飯に誘われたという。

 今月16日のAKB48グループじゃんけん大会(横浜アリーナ)は欠席するが、今後は徐々にペースを戻していく。今は後輩の成長を楽しみにしている。休養中、大和田南那(15)から「ダイエットしています!」と連絡がきたという。「なーにゃ(大和田)は痩せればすごくかわいいから楽しみ。今の若いメンバーには、かわいい子が多い。AKB48全体のためにも、みんながもっと上がってきてほしい」。

 達観した感のある「仏のぱるる」は、優しい笑顔で先を見据えている。