昨年11月の「第1回AKB48グループドラフト会議」で指名後に各グループに新加入した19人が25日、東京ドームシティで行われたイベントライブ「AKB48リクエストアワー」3日目公演の前座でデビューを飾った。緊張気味のメンバーが多い中、最多3チーム競合の末にNMB48チームNに1位指名された須藤凜々花(17)はマイペースで大物ぶりを発揮。かつての絶対エース前田敦子(22)をほうふつとさせた。

 勢ぞろいした新戦力をファンが注視する中、須藤は物おじしなかった。自己紹介の順番が回ってくるとクルクルッと2回、右手を振り上げた。「フレッシュレモンになりたいの。市川美織さんの後輩になりま~す、須藤凜々花です。えへっ」。レモンキャラでブレーク中の先輩市川美織(20)のフレーズを拝借する度胸の良さを発揮した。

 冒頭で、チームA、K、Bに1位指名された西山怜那(13)後藤萌咲(12)横島亜衿(14)の3人があいさつしたが、緊張のあまり泣いてしまうメンバーもいた。大ボケのパフォーマンスで不安と緊張が漂うステージの空気を一変させたのが須藤だった。

 昨年9月、ドラフト候補生を決めるオーディションのエントリーナンバーは「48番」だった。合格者30人の記念写真では自然にセンターに立った。何かを持っていると感じさせた。

 ドラフト本番までの期間中、ハプニングもあった。ブログ記事が誤解を生んで炎上。周囲から今後を不安視する声も上がった。それでも秋元康総合プロデューサーは「アンチが付くのはスターの証し。この子は面白い」と背中を押した。前田敦子もそうだった。AKB48のエースは常にアンチと向き合う宿命にある。そこに立つ資格があると秋元氏には思えたのかも知れない。

 スタイルも良く、手足はスラリと長い。マイペースで度胸もある。何より大観衆の中で空気を一変させる抜群の存在感。前田をほうふつとさせるものをいくつも備えている。この日のパフォーマンスで「ポストあっちゃん」になり得る可能性を十分に示した。

 くしくもこの日、客席には前田がいた。ステージには、かつて前田が歌った「PARTYが始まるよ」を初々しく踊る須藤がいた。

 ◆須藤凛々花(すとう・りりか)1996年(平8)11月23日、東京都生まれ。小6でドラマ「マジすか学園」を見てAKB48にハマる。勉強の合間にAKB48グループのDVDを見ることが趣味。特技は百人一首、字を書くこと。オーディションでは指原莉乃の「それでも好きだよ」を披露し、歌った理由を「私も胸がないから」と説明。ゲーテが好きで夢は哲学者になること。156センチ。