【パリ19日(日本時間20日)=小林千穂】映画「20世紀少年」(堤幸彦監督、30日公開)のワールドプレミア試写会が市内映画館で行われ、唐沢寿明(45)常盤貴子(36)が出席した。試写会前には、ルーブル美術館で「モナリザ」を前に、現地記者を集めて会見が行われた。「『モナリザ』の間」で会見が行われるのは同美術館では初めて。会見の反応やプレミア試写会でのファンの熱狂ぶりを見て、2人は作品への自信を深めた。

 壮麗な「モナリザの間」に、主題歌「20th

 Century

 Boy」が響き渡った。「モナリザ」が聞いた初めてのロックに乗り、唐沢と常盤が約80人の現地報道陣に迎えられた。ルーブル美術館ではホールやロビーでのイベントが過去に行われたことはあったが、「モナリザの間」での会見は初めてだという。

 「20世紀-」はフランスでは今冬に公開、実写作品としては過去最大級の約100館を予定している。最も人気がある日本人監督、北野武作品と同規模。本編完成前に公開が決まるなど期待が高かったため、パリでのワールドプレミア、ルーブル美術館での会見をする計画が持ち上がった。同美術館は、人気コミックの映画とあって許可。唐沢は「夢のようで、2度とないこと」、常盤も「アートに対する寛大な心に感謝したい」と喜んだ。

 会見は厳重な警備体制だった。記者を事前に登録、入館時間や移動ルートも厳密に決められた。この日は休館日のため混雑はないが、至宝が集まった場所らしい緊張感が漂った。

 一方、シャンゼリゼ通りに面した劇場、パブリシスシネマでのプレミア試写会は熱狂的だった。チケットがないファン200人がキャンセル待ちの列をつくり、一番乗りの男子学生は約7時間並んで作品を観賞した。唐沢と常盤は、上映前も終了後も、満員の400人から大きな拍手を受けた。「コミックのケンヂ(役名)よりハンサム」「原作と同じく常盤さんも柔道ができる?」など、親近感のある声が相次いだ。

 1日を振り返り、唐沢は「日本だと『いつまでも漫画読んでんじゃないの』と言われるけど、漫画はアートと言われました。僕たちの方が固定観念にとらわれてるかもと感じた1日でした。オタクもポップな感じでした」。常盤は「想像以上の反応。海を渡ってどんどん伝わってほしい。オタクの人たちも大好きなので楽しみました」。2人とも作品の成功をパリで確信したようだ。