58年公開のフランスの傑作映画「死刑台のエレベーター」が日本映画として52年ぶりにリメークされ、吉瀬美智子(34)阿部寛(45)が主演を務めることが9月30日、分かった。同映画は不倫関係の男女による殺人を発端とする物語を描くサスペンスの名作。鬼才と呼ばれたルイ・マル監督(享年63)のデビュー作で、ヒロインの悪女を名女優ジャンヌ・モロー(81)が演じ、殺人実行犯を名優モーリス・ロネ(享年55)が演じて高い評価を得た。

 日本版リメークで殺人をたくらむ悪女を演じる吉瀬は、32歳でモデルから女優に転身し、瞬く間に人気を獲得した注目女優。オリジナル版で演じたモローも、出演当時はデビューから数年後という“新人”だったが、同映画をきっかけに注目が高まった。吉瀬にとってもさらなる飛躍のきっかけとなりそうだ。阿部は独特の存在感で今や映画やドラマに引っ張りだこ。作品全体を支える役割を期待されている。

 これまで各国映画関係者が同映画のリメークを試みてきたが、権利を持つマル監督の息子の了承を得られず実現しなかった。世界初となる今回のリメークは、「下妻物語」「蟲師」などを手掛けてきた小椋悟プロデューサーの尽力で実現した。作品を見て「欲望に忠実な美しい悪女の姿に感覚的にひかれた」という小椋氏は鈴木清順監督作品で参加した05年のカンヌ映画祭で交渉の場を持ち、「似たような作品ではなく、敬意を払って真正面からそのままリメークしたい」という熱意が合意を引き出した。

 メガホンは緒方明監督がとり、玉山鉄二(29)北川景子(23)が共演。角川映画配給で来秋公開予定。