是枝裕和監督(52)が4日、ブログを更新し、同日発売の週刊文春が掲載した「是枝監督がカンヌ、くまモンパーティーに怒った!」と題した記事に対し「怒ってます。」と題して批判した。

 同記事では、是枝監督の新作「海街diary」(13日公開)がコンペティション部門に出品されたカンヌ映画祭期間中の5月18日に行われたパーティー「カンパイ・ナイト」を、その演出方法に賛同できない同監督が欠席したと報じている。「カンパイ・ナイト」は、日本の文化や産業を世界に発信する目的で、カンヌ映画祭からスタートした「ジャパンデイ プロジェクト」の一環として開催された。

 是枝監督はブログの中で、週刊文春の記者から取材依頼を受け、1度は断ったものの、メールアドレスに直接、依頼が届き、映画への公的助成を考える趣旨の内容だったので返信したメールの一部が無断で引用されたと指摘。自身が送ったメールの全文を掲載した。

 メールの中で、同監督は欠席したことについて次のように触れている。

 「確かに、あのパーティには違和感を感じて参加はしておりません。それは、映画が中心にあるべき映画祭という場所にふさわしくないと思ったからです。ただし、参加していないので実際どうだったのか? 僕は語れません。むしろ、参加した方々への取材をされたほうが良いのではないですか? あと、映画祭という、本来的には私たちが映画という文化の為に何が出来るのか? を考える場所を、日本のコンテンツを売り込む、見本市と勘違いしたような、くまモンや、コップのふちこや、ロボットガールがどのような経緯で選ばれたのか? 責任者に取材をされて、その上でやはり僕に、ということであれば、この取材はお受けします。単純な、表面的な揶揄のようになってしまうのは避けたいので」(原文まま)

 是枝監督は、「カンパイ・ナイト」に違和感があったことを認めつつも、参加していない自身が語れないと明言した。その上で、「カンパイ・ナイト」の参加者とイベントの責任者に取材後、それでも取材したいなら受けるとしている。にもかかわらず、メールの一部が無断で引用され、掲載されたことについても、怒りをあらわにした。

 「僕としては、取材は再度お断りしたつもりでしたが、にもかかわらず、この返信メールの一部を引用して記事は書かれました。もちろん引用されることは全く事前に連絡はありませんでした。映画という文化への国の支援の方法について、きちんと取材を重ねられるのであれば、受ける、と伝えたにもかかわらず。です。パーティーに参加していない人間が、批判することは、主催者にとっては不愉快でしょうし、僕は、この件に関しては当事者でもあるので、底の浅い批判に終始し、単純な揶揄になりたくないと思い、自分としては誠意を持って返信したつもりでいましたが、どうも真意は受け止めてもらえなかったようです。少なくとも紙媒体では、メールの一部をこのような形で引用したいと思うのだが? という連絡が事前にあってしかるべきだと思うのだけど、違うかな? 最早、感覚はリツイートと同じなんでしょうか?」(原文まま)

 文春の記者にもその旨、メールしたところ「『取材を申し込んだところ、こういう返事があった』としてその文面を紹介するのは、取材活動の一環だと考えて」いる、と返信があったという。

 是枝監督はブログの最後に「記事は『もっと怒ったほうが良さそうです』とまとめられていますが、今、僕の中にある怒りと落胆は、パーティーに対するものではありません」(原文まま)と怒りと疑問をあらわにした。