武田梨奈(24)主演映画「かぐらめ」(奥秋泰男監督)初日舞台あいさつが24日、都内の新宿武蔵野館で行われた。「かぐらめ」は、昨年8月から9月にかけて山梨県都留市で行われ、大腸がんで今年5月28日に亡くなった今井雅之さん(享年54)も出演。武田と父役の大杉漣(64)母役など一人二役を演じた筒井真理子(53)は、今井さんとの共演シーンが多かった。

 筒井は「若い頃から共演させていただいた。当時はイケイケで(年齢を重ねて)落ち着かれて…この映画では、すばらしい味を出された。これから、楽しみだと思っていたんですけど…とても残念」と今井さんの死を惜しんだ。

 大杉は、東映のビデオ専用映画「Vシネマ」で、今井さんと出会い、共演が多かったという。

 「Vシネのやくざもので、今日は組長、明日は若頭をやっていた楽しい頃、今井さんと出会いました。裏表のない元気な人で、舞台が大好きな人。『かぐらめ』の現場でも『次のことを考えてるんだよ』と話していました。現場で、はしゃいでいる今井さんがいた。それが彼の現場の過ごし方で、役を探るあり方。その俳優の魂が『かぐらめ』には詰まっています」

 大杉は、ひとしきり語った後「もう、いいでしょうか」と言い、涙ぐんだ。

 武田は、今井さんの死と併せて、「かぐらめ」の撮影に自宅を貸し、朝3時から食事を作ってくれるなど全面協力してくれながら、公開前に亡くなった、奥秋監督の母に感謝し、涙ぐんだ。

 「監督とこの作品を作る時、世界中の人を感動させる映画を作ろうと言っていたけれど、撮っている途中で、目の前にいる人の背中を押せる作品にしようと、いつからか言うようになりました。私は、この作品に何度も救われました。自分の中では結構、代表作になったんじゃないかと思っています。役者としても人間としても、成長させてくれた作品です。監督のお母さまが、いつも支えてくださった…そのお母さまが、公開前に天国に逝かれてしまって。完成を1番、楽しみにしていたと思うんですけど、見られなくて。今井さんもそうなんですけど、絶対どこかで見てくれていると思います。」

 この日は黒川芽以(28)森岡龍(27)朝加真由美(60)脚本家の難波望さんも登壇した。