NHK大河ドラマ「花神」や「遠山の金さん捕物帳」で知られる俳優で劇団前進座代表の中村梅之助(なかむら・うめのすけ)さん(本名・三井鉄男=みつい・てつお)が18日午前7時25分、肺炎のため都内の病院で亡くなった。85歳だった。親族らで密葬を済ませ、劇団葬を3月3日午前11時から東京都港区南青山2の33の20の青山葬儀所で行う。喪主は長男の俳優梅雀(ばいじゃく)氏。

 梅之助さんは腎臓を摘出し、近年は大腸憩室炎、脳梗塞と闘いながら、昨年5月に「文七元結」に出演した。今月11日に「息が苦しい」と訴えて救急搬送された。18日に孫娘にみとられて息を引き取った。梅雀は大雪による渋滞で間に合わなかった。

 前進座創設者の中村翫右衛門さんの長男に生まれ、父の死去後、劇団運営に取り組んだ。「勧進帳」の弁慶が当たり役で、ドラマは「花神」で主人公の大村益次郎を演じ、「遠山の金さん捕物帳」「伝七捕物帳」などにも主演。5月に前進座85周年公演「東海道四谷怪談」に出演予定だった。

 梅雀はこの日の出棺後、「劇団のために全力を尽くした人生でした。60代を越えてからは毎年のように入退院を繰り返し、体のどこかを手術しながらも復帰して舞台に立ち、頑張って参りましたが、体はボロボロでした。最後まで闘い続けた父を誇りに思います」とコメントした。