テレビ朝日系「報道ステーション」(月~金曜午後9時54分)の古舘伊知郎キャスター(61)が31日、最後の出演を終えた。04年4月の番組スタートから12年間のキャスター生活にピリオドを打った。

 番組最後、約8分間にわたって視聴者に向けて別れの言葉を述べた。

「私が大変気に入っているセットも今日が最後。04年4月に産声を上げ、12年の月日がたった。私の古巣であり、学びやであるテレビ朝日に貢献したくて、大任を引き受けた。かぜをひかず、無遅刻無欠勤で、テレビの前の人の支えがあった。ありがとうございました」と切り出した。

 「私のわがままで辞めさせていただく。正直、窮屈になってきた。もう少し、自分ありのまま言葉で、皆さまを楽しませたいという欲求が出てきた。12年間支えたという自負もある。一部でプレッシャーがかかり、私が辞めるとか、辞めさせられるという話もあったが、一切ありません。支持してくれる人にとってみれば、辞めるのは裏切り。私のわがままです」と言い切った。

 そして「このごろの報道番組で開けっ広げに発言できない空気もある。『空気を読む』という言葉があるが、一方で『水を差す』のも必要。ツルンツルンの言葉で固めた番組など、面白くない。番組は偏るんです。それを程よいバランスにするんです。言うべき事は言う。厳しい発言で、間違えれば謝るんです。でも、それがきっかけになったということもある」と話した。

 「テレビが1人勝ちの時代があった。久米宏さんは『ニュース・ステーション』というニュースショーを作った。私は、その後で地上波が厳しくなり、競争も厳しくなったが殿(しんがり)を務めさせていただいた。ニュースキャスターというのは、本当につらい。人の情けにすがりながら、折れた情けの枝で死ぬ」と話した。

 この日は冒頭で「私としては、今日で最後の出演となります。どうぞよろしく」とあいさつ。それに続いて埼玉・朝霞市内女子中学生連れ去り事件、福島第1原発の現状や「核セキュリティーサミット」出席のため渡米した安倍晋三首相、4月からの経済情勢、ブラジル政治の混乱によるリオ五輪への影響などを伝えた。

 2年間にわたってお天気キャスターを務めた林美沙希アナウンサー(45)と、4年8カ月にわたりスポーツキャスターを務めた青山愛アナウンサー(27)も、この日が最後の出演。林アナは「幸せな時間でした」、青山アナは「お世話になりました」とあいさつした。

 4月11日からは、富川悠太アナウンサー(39)が、古舘氏の後任のキャスターを務める。