カンヌ国際映画祭で「ある視点」部門審査員賞を受賞した「淵に立つ」の公開を記念し、深田晃司監督(35)が10日、大阪市のシネ・リーブル梅田でトークショーを行った。

 浅野忠信演じる前科を持つ男が、知人の男(古舘寛治)とその妻(筒井真理子)と奇妙な共同生活を始めることで巻き起こる、家族の変化を描く。

 従来の作品同様、脚本も手がけた深田監督は、客席からの問い掛けに答える形で、映画に対する持論を展開した。「音の使い方が印象的だった」との声には「僕は比較的、音楽の少ない映画を作ります。100人が見たら、100通りのとらえ方をしてほしいけど、音楽はものすごく強い力を持っていて、観衆の印象を1つにまとめてしまいがちなので。音楽を使わない分、日常の物音とかをきっちり使っていきたい」と説明した。

 「脚本がすばらしい」との声には「脚本はすごく大事。脚本がしっかりしていれば、お客さんに基本的な設定が伝わる。逆に脚本がだめだと、その分、俳優さんにそこを補う演技が必要になるし、それで伝わらなければ、下手な芝居に見えてしまうので」と話した。

 また次回作について、来年にインドネシアを舞台にした青春映画を撮影するプランを明かしていた。