俳優で映画監督のメル・ギブソン(70)が、カナダ・トロントで開催されたイベントで手話通訳者を嘲笑した疑いで「著しく失礼かつ不適切」「差別的」だと非難を浴び、謝罪する事態となった。

ファン・エクスポ・カナダで司会者に紹介されてステージに登場した際に、ギブソンはその様子を手話で観客に伝えていた通訳者のすぐ後ろを手話をまねるような仕草をしながら通過した。この時の様子を撮影した動画がネットで公開されると、大げさな手振りが通訳者や手話を揶揄したものである可能性を指摘する声が相次ぎ、「卑劣極まりない」「彼の映画は好きだけど、彼という人間についてはあり得ない」「これを見て、彼がさらに嫌いになった。本当に最低な奴だ」などと批判が殺到。ろう者からも「自分たちの言語が嘲笑されるのを見るのは、いつだってがっかりさせられる。私たちは自分たちの言葉が認められ、真剣に受け止められるよう懸命に努力しているのだから」と非難の声が上がり、ギブソンを招待したことを通訳者に対して謝罪するよう主催者側に求める人もいた。

批判を受けてギブソンは声明を発表。「スポットライトを浴びながらステージに送りだされると、頭の中が混乱してしまうことがある。時に、とっさに無思慮で愚かな振る舞いをしてしまうこともある。悪意は全くなかった。そのことで不快な思いをされた方々には心からお詫び申し上げます」と述べて謝罪した。

ギブソンは2006年に酒気帯び運転で逮捕された際に警察官に対して反ユダヤ主義的な暴言を吐いたとして物議を醸し、この事件をきっかけにハリウッドから事実上追放された過去がある。今回の騒動は、ギブソンが監督を務めた映画「パッション」(2004年)の続編「ザ・レザレクション・オブ・クライスト」の公開を控えるタイミングで起きた。2部作となる続編の1部は、2027年5月公開を予定しており、今後のプロモーション活動への影響も懸念される。(千歳香奈子)