シンガー・ソングライター小田和正(69)が30日、沖縄・宜野湾海浜公園野外劇場で全国ツアーを締めくくった。4月末から24カ所48公演を行って37万人を動員。ツアー中に69歳を迎えたが、この日もステージを縦横無尽に駆け回り、ファンを楽しませた。

 暑さは少し和らいだといはいえ、沖縄はこの日も気温25度。野外ステージに立った小田は、真っ白なTシャツに短パン姿でオープニングから走り回った。「最終日は毎回寂しさもあるけど、かけがえのない思い出になるよう楽しみましょう」。「さよなら」などオフコース時代の名曲から、今年公開の映画「64」の主題歌「風は止んだ」まで、おなじみのハイトーンボイスで約3時間、31曲を歌って3500人を魅了した。トークもベテランらしくユーモアたっぷり。「今朝ホテルで足の小指をぶつけてしまった。ツアー初日にもやって、本当に年を取ってやんなっちゃう。こんな年寄りを見に来てくれてありがとう」と話して笑わせた。

 ベストアルバム「あの日 あの時」を引っ提げた1年ぶりとなるツアーは、ソロ活動を本格化させて以降、最もハードな日程となった。4月30日の静岡公演で開幕後、半年間にわたって毎週ステージに立った。木曜に現地に入り、金曜にステージ大型画面で上映する「ご当地紀行」を撮影するため会場周辺を駆け回り、土曜と日曜にライブを行った。タイトなスケジュールに「明日、声が出なくなるんじゃないかと思うこともあります」と吐露したこともあった。のどが本調子でない日もあったが、少なくとも開演1時間前には本来の声に戻る驚異的な回復力で乗り切ってきた。

 ツアー先でもジムでトレーニングを欠かさない。親交が深く同世代の吉田拓郎(70)のステージが好評と知ると、自分のことのように喜び、刺激を受けた。

 人気、実力ともに衰えを感じさせない。新曲はもちろん過去の曲も映画主題歌やCM曲に多数使われる。今回のツアーチケットも完売したが、そのスピードは過去最速。ベストアルバムも出荷50万枚に達する勢いだ。来年、古希を迎える。「またこうしてツアーに出られる日を心から待っています」。ファンにそう約束すると、ツアー締めくくりの演出で打ち上げられた花火を見上げ、決意を新たにしたようだった。【大友陽平】

 ◆小田和正(おだ・かずまさ)1947年(昭22)9月20日、横浜市生まれ。69年オフコース結成、70年シングル「群衆の中で」でデビュー。「さよなら」「愛を止めないで」などヒット曲を生み、89年の東京ドーム公演で解散。同年にソロ活動再開。「ラブ・ストーリーは突然に」「キラキラ」などヒット曲多数。今年4月発売のアルバム「あの日 あの時」でオリコン週間1位を獲得してアルバム首位獲得最年長記録(68歳7カ月)。