第59回ブルーリボン賞(主催・東京映画記者会=日刊スポーツなど在京スポーツ7紙の映画記者で構成)の授賞式が8日、東京・霞が関のイイノホールで行われた。

 「湯を沸かすほどの熱い愛」(中野量太監督)で、10代として史上5人目の助演女優賞を受賞した杉咲花(19)だったが、司会の大泉洋の、怒濤(どとう)のトークとツッコミに一瞬、ぼうぜん自失状態となり「ごめんなさい」と“公開謝罪”した。

 杉咲は、「湯を沸かすほどの熱い愛」で、宮沢りえ演じる余命宣告された主人公の娘を演じた。劇中では、いじめに遭って制服を隠され、母からジャージーで登校するよう促されるシーンや、海辺で母から出生について真相を宣告されるシーンがある。

 娘を持つ父でもある大泉は、いじめのシーンについて「見させていただきましたが…娘がいるものですから耐えられないくらいでございました。泣きましたけど…泣く前に腹が立って、腹が立って。いじめられるんですよ! ひどいことをされて…制服が盗まれ、ジャージーで学校に行かされる。私は(制服を)買ってあげた方が良かったと思う」と持論を展開。娘が母から真相を告げられるシーンについても「でも、どうですか? お母さんの都合でね、あそこでいきなり言われてもねぇ…1度でいいから、お母さんと1度でいいから、ちょっと話したいと思う」などと中野監督の脚本に、まさかの“ダメ出し”をした。

 杉咲は、大泉のトークの勢いが、あまりに強烈だったからか、1つ目の“ダメ出し”には「ごめんなさい」、2つ目の“ダメ出し”にも「そうですか…すみません」と答えるしかなかった。その後も、大泉から、中野監督の演出方法や役作りについて質問攻めに遭った。「湯を沸かすほどの熱い愛」への、大泉の熱い思いについては喜んでいたが、言葉に窮し、客席にいた中野監督に視線を送ることもあった。

 そこで、もう1人の司会の有村架純が「杉咲さんの表情と声が本当にすてきで、すばらしかった」と褒めて“助け舟”を出すと、杉咲は安堵(あんど)の表情を浮かべていた。【村上幸将】