人気ロックバンドRADWIMPSの新曲「HINOMARU」が物議を醸している。「この身体に流れゆくは 気高きこの御国のみ霊」「さぁいざゆかん 日出づる国の御名の下に」などといった歌詞やタイトルから、「愛国ソング」としてネット上で批判を浴び、ボーカルの野田洋次郎(32)が11日にツイッターで謝罪していた。この件に関して、他のアーティストから擁護の声が次々と上がっている。

 ASIANKUNG-FUGENERATIONのVo&Gt後藤正文(41)は11日、ツイッターでこの件について言及。「『言いたいことがあるなら音楽でやれ』という人たちが、僕が書いた歌詞をちゃんと読んで評価してくれたことはほとんどないし、インタビューなどの切れ端を釣り餌にして盛り上がる人たちが音楽をきちんと聞いてくれている手応えも少ない」と批判にくぎを刺した。そして「難しいよね。どうあれ、僕らは利用されがちだよね」と純粋な音楽への批評は少ないとの思いを吐露した。さらに14日には、「『HINOMARU』については思うところありますよ、それは。けれど、Twitterで、即座に、140字で切ってみせろだなんて乱暴でしょう。批評はまた文芸の一形態ですよ。ツアーとアルバムで手一杯のなか、誰かの作品について深く考察するのも大変です(考えてるけれど)。言いわけでなく」と投稿し、改めてその考えを示している。

 アニメ「新世紀エヴァンゲリオン」のオープニング曲「残酷な天使のテーゼ」や、Wink「淋しい熱帯魚」などを手掛けた作詞家の及川眠子さんも、持論を展開している。及川さんは15日、ツイッターで「RADWIMPS『HINOMARU』を聴いた。いい歌じゃん。これの何があかんの? この詞は『命』について歌ってると感じたけどなぁ」と感想を述べ、「左とか右とか、そういう思想で簡単に縛ってバッシングする。アーティストから言葉を奪うな、と私は思う」とつづった。その後も、「30年以上作詞家やっているとよくわかる。本当にだんだんと言葉に対しての『取り締まり』みたいなのがキツくなってるのよ」など、この件に関してツイッターを何度も更新している。

 宗教法人「幸福の科学」に出家し、清水富美加から改名した女優でバンド経験のある千眼美子(23)も12日、ツイッターを更新し、「謝っちゃだめ。愛国心満載のただただ、ええ曲」と同楽曲を高く評価。「この議論が生まれた時点で野田さんめっちゃ仕事してる、浮き彫りになるんで。日本が好きな人と嫌いな人。日本が好きって気持ちの強さと弱さ。ゆえに今の日本、これからの日本、ちょっと垣間見れる気がするので。浮き彫り感あざす、ええ曲あざす」と私見を述べた。

 他にも、ウルフルズのギタリストウルフルケイスケ(53)が11日、「RADWIMPSの野田君、謝罪する必要なんてないと思う。自由って何?と違和感を感じる」とツイッターを更新。15日には、きゃりーぱみゅぱみゅ(25)も「クリエイティブなものなのに言いがかりつけて表現できなくなって死んでいくことが悲しい。攻めていけない世の中」「くそつまらん!!!!!!!!!」「なんでも文句言ってくる姑みたいな大人にだけはなりたくない」と、この件に関連していると思われるツイートをしている。