覚せい剤取締法違反罪に問われ、東京地裁で26日初公判が開かれた酒井法子被告(38)に対する検察側の冒頭陳述と論告の要旨は次の通り。

 【冒頭陳述】

 酒井被告は4年前ごろ、夫・高相祐一被告(41)に勧められ初めて覚せい剤を使用。2008年夏ごろから継続して使用するようになった。

 09年7月20日から、皆既日食を見るため夫らと奄美大島に旅行。30日昼すぎごろ、宿泊先ホテルで夫から「あるから、吸っていいよ」などと言われ、バスルームでガラスパイプ内の覚せい剤をライターの火であぶり、煙を吸引した。

 6月ごろ、自宅でガラスパイプを使って覚せい剤を使用後、パイプ内に残った覚せい剤を、後日使用するつもりで削り落としてアルミホイルに包み、化粧箱に入れて自宅に保管した。

 8月2日、夫は渋谷区内の路上で職務質問を受け覚せい剤所持が発覚、3日未明にその場で現行犯逮捕された。同日、酒井被告方の捜索で化粧箱内の覚せい剤が発見された。

 酒井被告は夫に職務質問の現場へ呼び出されたが、自己の覚せい剤使用が発覚することを恐れて現場を離れ、東京都内や周辺を転々とした後、8日、警察に出頭した。

 【論告】

 覚せい剤は脳の中枢神経系に作用するため、使用による快楽と効果が切れた苦痛によって量を増やしながら使用を繰り返すという悪循環を生む。

 使用者の心身をむしばむばかりか、幻覚・幻聴によって、ほかの重大な2次犯罪に及ぶ可能性を引き起こすため、社会に及ぼす悪影響は重大で深刻だ。覚せい剤の取引により、暴力団等の違法組織が有力な資金源を得ることにもなる。

 酒井被告は数年間にわたり、断続的かつ多数回も覚せい剤を使用し、覚せい剤への親和性・依存性が認められる。覚せい剤との関係を断ち切らせるため、厳罰に処することが必要不可欠だ。

 著名な芸能人として活動してきた酒井被告が今回の罪を引き起こしたことにより、仕事関係者、被告の子ども、社会にあまりにも大きな悪影響を及ぼした。酒井被告は犯行が発覚した際、大きな影響を及ぼすと自覚しながら覚せい剤を使い続けており、責任は重い。

 酒井被告は夫の逮捕後、覚せい剤使用の発覚を免れるために逃走を図った。社会的影響を考えると、使用と同程度に強い非難に値する。模倣して罪を免れようとする者が出てくることは必至だ。

 酒井被告が所持していた覚せい剤の量は多くなく、一定の社会的制裁を受けており、反省の態度を示しているなど有利な事情も考慮しつつ、更生に向けた強い意志と自覚を促すために厳しい処罰が必要だ。懲役1年6月が相当だ。

 [2009年10月26日22時42分]ソーシャルブックマーク