持ち歌「UFO」などの振り付けをダイエット法として紹介した週刊誌が写真14枚を許可なく掲載したとして、「ピンク・レディー」が光文社(東京)に損害賠償を求めた訴訟の上告審判決で、最高裁第1小法廷(桜井龍子裁判長)は2日、「著名人については肖像の使用を正当な表現行為として受忍すべき場合もある」との初判断を示し、ピンク・レディーの上告を棄却した。敗訴の1、2審判決が確定した。

 著名人が名前や肖像に伴う経済的利益を独占できるとされる「パブリシティー権」に基づく賠償責任が争点で、判決は権利が人格権の1つに当たるとして「商品の販売などを促進し、顧客を引き付ける力を排他的に利用する権利」と定義するなど内容や範囲を示した。

 著名人については「社会の関心を集めて肖像が報道や創作物に使われることもある」として、侵害に該当する行為を例示。<1>肖像自体を独立して鑑賞の対象にする形態の商品利用<2>商品の違いを出す目的で肖像などを商品に付ける<3>肖像などの広告利用-を挙げて「顧客吸引力の利用を目的とする場合」と判断した。

 その上で今回の写真使用を検討。1970年代後半には2人の曲の振り付けをまねることが大流行していたとして「振り付けによるダイエット法の解説で、読者の記憶を喚起するための記事内容の補足が目的というべきだ」と違法性を否定した。

 裁判官5人全員一致の結論。金築誠志裁判官(裁判官出身)は補足意見で「著名人は娯楽的な意味も含めて社会的関心の対象となり得る存在で、人物像や活動の紹介、報道などを不当に制約するようなことがあってはならない」と指摘。

 「氏名や肖像などの使用は名誉毀損(きそん)やプライバシー侵害などによる別の救済方法もあり得ることを考慮すれば、商業的利用を全般的に権利侵害とするのは適当ではない」と述べた。

 1、2審判決によると、記事は2007年2月27日号の「女性自身」に掲載。ピンク・レディー側は計372万円の賠償を求めていた。