藤田まこと(75)が食道がんの治療のため、6月の東京・明治座公演「剣客商売」を降板することが16日、発表された。食事の通りが悪くなり、健康診断を受けたところ食道に腫瘍(しゅよう)が見つかった。藤田は「どうしてもやりたい」と懇願したが、ドクターストップがかかった。主演する予定だった秋山小兵衛役は平幹二朗(74)が代役、後半の「まことルミ子のラブラブコンサート」は小柳ルミ子が単独で行う。

 藤田は2月ごろから主演映画「明日への遺言」キャンペーンやドラマ「佐々木夫妻の仁義なき戦い」出演で多忙を極め、食べ物がのどを通りにくく食欲がない状態が続いていた。3月21日に大阪市内の病院で検査し、27日に食道の異常が指摘された。29日は舞台「剣客商売」の映像撮影を元気に行ったが、31日に食道の外側に腫瘍があると診断され、そのまま入院した。

 藤田は6月の舞台を「どうしてもやりたい」と懇願したが、主治医から「体力があるうちに治療した方がいい」とドクターストップがかかった。それでもやる気満々の藤田を所属事務所社長が説得し、藤田も「分かった」と渋々了承。この日、マスコミ各社にコメントを寄せた藤田は「心ならずもおわびのご報告をさせて頂かなければならないことになりました。健康管理も仕事の内と言われる役者稼業にあって不本意ながら、降板させて頂くことは断腸の思いです」と現在の心境を明かした。

 今後は投薬と放射線治療を続けながら、今月末にがんの摘出手術を行うかどうかを決める予定。手術した場合でも1カ月ほどで退院できるという。藤田は7、8月に「剣客商売」など2時間ドラマ2本、9月に大阪松竹座「剣客商売」、10月に「はぐれ刑事純情派スペシャル」の撮影が待っており「ご迷惑とご心配をお掛け致しました。おわびとお礼は、1日も早く、健康な役者・藤田まことの姿を皆さまにご覧頂くことと心得ております」と復帰に意欲をみせている。