<第13回日刊スポーツ・ドラマグランプリ受賞者発表>

 「第13回日刊スポーツ・ドラマグランプリ」の主演女優賞はフジテレビ系ドラマ「BOSS」の天海祐希(42)が獲得した。連ドラでは初の刑事役だが、タイトル同様の頼れるボスに加え、おちゃめな一面も織り交ぜる役を巧みに演じた。04年「離婚弁護士」05年「女王の教室」に続く3度目の受賞。天海は喜びとともに「何でもできますよ、と見てもらうのが仕事」と胸を張り、女優業に向き合う真っすぐな姿勢を示した。

 天海は3度目の栄冠に「すごくうれしいです。もっとトロフィーを増やしたい」と笑顔を見せた。望んでいた刑事役での受賞だ。

 天海

 「太陽にほえろ!」が好きで、ぜひやりたかったんです。石原裕次郎さんが好きだったので。でも、タイトル(BOSS)を聞いて、私でいいのかなと思いました。早速、石原プロにお伺いをして、それで「お前なら許す」と言われました(笑い)。

 演じた役柄は警視庁捜査1課特別犯罪対策室室長だ。おちゃめな一面を見せながら、リーダーとして個性的な部下をまとめた。

 天海

 初めて顔を合わせたメンバーが最終回まで、時間をかけて徐々にお互いを理解し、サポートができたように、私たち俳優もそういう時間を過ごせたんじゃないかなと思います。チームになれた気がしますね。

 石原さんのボスに対し、どう演じようとしたのか。返ってきた言葉に仕事へのこだわりがにじんだ。

 天海

 役作りを言ってしまうとネタバレだと思うんです。視聴者は自分のイメージで受けとめているのに、私が言うと、それが正解になる。イメージが違ってもありなのに。

 苦労話は語らなかった。

 天海

 何でもできる人間はいないし、苦労も工夫もしているつもりです。でも「何でもできますよ」と、見ていただくのが私たちの仕事。だから、苦労は何もございません(笑い)。

 きっぱり語る姿には女優業に向き合うストイックさが漂う。この姿勢が共演者から信頼され、主演というボスの立場を務めることができる要因かもしれない。

 天海

 苦労していると思われるのが嫌なんです。きっと負けず嫌いです。

 ドラマ「離婚弁護士」ではキャリアウーマン、「女王の教室」では冷酷な教師。これまで演じた役の共通点は強い女性だ。

 天海

 強い女性には強くなっていった過程があると思います。強くならざるを得なかったとか、ここは切り捨てなきゃどうにもならないというような経験。私にとっての強さは、責任を取れること。自分で決断を下せるかということ。あと、本当の意味での優しさ。突っぱねることも優しさ。

 主演には常に責任がつきまとう。チーム全体の視線を正面から受けとめた。

 天海

 「私が主演です」という思いはほとんどないんです。みんながいて、丁寧に演じてくれるから私がいる。でも「ありがとうございます」ばかり言っていては、周囲がついて行きにくくなるので「はい、こっちです」と自信がなくとも、根拠のない自信も持たなきゃいけない。「こっちで正解と思う。正解にしましょう」という力業も。あるのは一生懸命努力する自信だけですかね(笑い)。

 大女優という言葉に違和感のない天海だが、最後に今後の目標を聞いた。

 天海

 へへへ、ちょっとでもいい人間、正しい人になろうと思います。だって自分が自分の一番だめだめの部分を知っているから。

 あえて弱点を明かさない強さが笑顔に浮かぶ。美+強さ+おちゃめ=格好いいボス。天海の魅力だ。

 ◆天海祐希(あまみ・ゆうき)

 1967年(昭42)8月8日、東京生まれ。85年、宝塚音楽学校入学し、87年に73期生として入団。93年に史上最短7年で男役トップ(月組)就任。95年、新人公演時代の主演作「ミー・アンド・マイ・ガール」で退団。その後、ドラマ「トップキャスター」「不毛地帯」、映画「ザ・マジックアワー」などに出演。現在は舞台「薔薇とサムライ」で活躍。171センチ、血液型O。

 [2010年4月26日17時11分

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