NHK紅白歌合戦の総合司会も務め、現在はお昼の人気番組「スタジオパークからこんにちは」にレギュラー出演する住吉美紀アナウンサー(37)が、3月末で退局することが5日、分かった。関係者によると、所属事務所は未定だが、将来的にはフリーアナとして活動したい意向を持っているという。モットーはスマイルというだけに、明るく、親しみやすいキャラクター。民放での活躍が期待され、争奪戦が予想される。

 NHK看板アナの1人がまたフリーに転身する。関係者によると、住吉アナは数年前から退局を意識していたという。商社に勤務していた父が50代で亡くなり人には与えられた時間が限られていると感じたことがきっかけだったようだ。気力と体力のある間に、さまざまなことに挑戦しなければと決意したとみられる。

 さらに、カナダで独り暮らししている住吉アナの母も理由の1つという。母と会う時間をできるだけつくりたいと以前から思っており、フリーになれば、時間を比較的自由に生み出せると考えたようだ。NHKは民放キー局とは異なり、将来的には転勤もある。母と会うチャンスを今以上に縮小することは避けたかったようだ。

 NHKを退局する住吉アナだが、アナウンサーの仕事が嫌いなわけではない。できる限り続けたいという気持ちは強い。住吉アナの知人らによると、執筆やドキュメンタリーなど時間をかけての撮影や取材活動などをやってみたいと漏らしていたこともあったという。局アナの立場では難しい仕事だ。フリーになれば、仕事の幅を広げ、NHKにはない民放ならではの魅力的な番組への出演チャンスも生まれる。

 もう1つの理由は、37歳という年齢もある。キャリアは十分だが、新しいフィールドに飛び込んで自分の可能性を試すには、時間的に遅くない方がいいと思ったようだ。女性アナには30歳定年説という言葉もあるだけに、新しい道に進むなら、気力、体力のあるうちにと考えた末、今回の転身を決断したとみられる。

 住吉アナは、「スタジオパーク」のほか、過去には人気番組「プロフェッショナル

 仕事の流儀」を担当した。同番組では、登場するゲストの話に共感し、涙を流す素直な姿が視聴者の共感を呼び、視聴率アップに貢献していた。07年には「紅白歌合戦」の総合司会を務めた。昨年はサッカーW杯のスタジオ進行を行うなど、幅広い分野で活躍してきた。人気も実績も申し分なく、フリーに転身してもバラエティーや歌番組など柔らかい分野から情報、報道系まで幅広い分野をこなす力量は十分にある。

 最近のNHKでは、宮本隆治アナや堀尾正明アナらがフリーになった。女性アナとしては、06年に退局した膳場貴子アナ以来となる。NHK出身アナのほとんどは民放の看板番組でも活躍。アナウンサーとしての力量に加え、明るい人柄と全国区の知名度から、住吉アナの争奪戦が繰り広げられることは必至だ。

 [2011年1月6日11時13分

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